Tentative

おもしろいとおもったことをもう一回かんがえるせいりするまとめる

自炊についてかんがえてみた:中編

(この記事は前編のつづきです。)

5. 本当に自炊は高くつくのか?

 

ただ、自分の中に深く刻まれた傷がこう問いかけるわけです。
 
「そんなことはない、自炊はマクドに行くよりも安くすむんや…忘れたんか?」
と。
 
忘れるわけありません。もやしを「神の毛」と崇め奉ったあの時代を。
 

f:id:ocrock:20141203150233j:plain

The moyashi is a hair of God.

 
それでは、金銭コストを減らす、つまり「節約」をしてみようと思います。さきほども定義付けましたが、ここでは「食費を¥100/日以下」までのことをして初めて「節約」と言います。乱暴なのは百も承知!
 
「材料費」
外食で節約しようとしても、限界があります。1食を100円で抑えることはできても、50円程度に抑えるのは相当至難の業です。それができたとしても満腹になることはありません。ただ、自炊ではコレが(かなり強引ですが)可能になります。
例えば、スーパーのセール時などで、即席ラーメン5袋入りが200円で売っていたとします。1袋40円です。半分にすれば、20円。一袋19円のもやしを軽く炒めてそこに載せれば、39円でもやし入りラーメンの完成。あと、お茶碗1杯のご飯の米代はざっくり24円です。よって、もやし入り半ラーメンとごはんが63円で実現可能になります。
 

f:id:ocrock:20141201011022j:plain

 
もう一例をあげると、小麦粉80gと、キャベツ1/4玉でキャベツ焼きを作ります。それにごはん一杯をつけます。すると、キャベツ焼き(小麦粉12円、キャベツ25円、ソース2円)とごはん(24円)で63円になります!(もやし入れるとベチャベチャするからキャベツ推奨です)
 
このように、「自炊」では極限まで材料費を「節約」することができます。ここまでの節約は外食ではさすがに困難です。
 
「光熱費」
料理の行程が少なければ少ないほど安くなるので、どれだけさっと無駄なく作れるかが問われます。
 
「機材費」
必要最低限のものがあればいいのです。なので、包丁とまな板、厚底のフライパンがあれば何とかなります。厚底のフライパンであれば、鍋として使用することもできるので、炒めものはもちろんパスタも茹でられます。袋麺もいけます。包丁もまな板も100均で買えますが、さすがに心もとないので、ニトリで買いましょう。3000円ぐらいで揃えられるはずです。ホームセンターで買うこともできますが、ホームセンターは庶民の味方と見せかけて、意外といい値段で売ってたりしますので要注意です。お、ねだん以上。ニトリです。
 
つまり、自炊における金銭コストは減らすことができるのです。
 

 

6. 自炊に対しての疑問

 
ちょっとここまでをまとめます。
 
A -- 
材料費 -- 外食より高価
機材費 -- 一式買い揃えようとすると高価
光熱費 -- どうしてもかかる
労働コスト -- めんどい
 
B -- 
材料費 -- 100円/日も可能 故に外食よりかなり安価
機材費 -- 必要最低限のものだけ
光熱費 -- どうしてもかかる
労働コスト -- めんどい
 
(わかりやすいようにAもBも極端にしています。)
 
サンプルとしてあげたこのAとB、、これは自分が送ってきた自炊スタイルの変遷です。
最初、自炊を始めた頃(パターンA)は「自炊は安く済む」と思い込んでいましたが、それは概ね間違いでした。そして、もろもろの事情でお金がなくなると、自炊の極限(パターンB)へと移行します。基本的にはこれを往復する形で数年間過ごしました。この往復を繰り返してくると自然と疑問が浮かびます。果たしてこれは正しいのか。正しいというかハッピーなのか。ハッピーな自炊ができないものか。
 
そして、自分の自炊生活に静かな変化が起こります。
 

 

7. ルームメイトから得た食材の「やりくり」

 
私は30代になる直前に、それまで拠点としてた大阪を離れてIAMASという学校に入学しました。フリーランスの仕事をしていましたが、大阪から離れたことで仕事が減り、あっという間に貯金もなくなり生活が苦しくなります。なんとか生活費を抑えなくてはならないと考えていた頃に、同級生の女性二人とルームシェアをする機会が訪れます。ルームシェア生活を送ることになったこの三人は、作品制作のため、お金がありませんでした。三人で住むことになっても生活費を低く抑えることが求められました。
 
(※前記事でテラスハウスの記事書いてはいますが、自分が過ごしたルームシェア生活は楽しく且つドライなものでした)
 
ルームメイトのひとりが料理がうまいというより、非常に「自炊」が上手な人で、食材のやりくりが巧みでした。今でも畏敬の念を抱いています。ぼくはルームシェア生活を送っている間、彼女が見せてくれた食材のやりくりを自分なりに続けています。
 
スーパーに行ったら、まずは生鮮食品の「見切り品」の棚にあるもの、もしくは割引シールが貼られたものを買う
晩御飯に何を作るかを考えるのは時におっくうになるものです。それを見切り品の内容でその日の献立を決めるのです。たとえばカブがやすければカブのそぼろ煮であるとか、白身魚がやすければムニエルとかそういった感じです。
 
食材を保存する
食材は安い時に買って保存するのがいいです。そして使いやすいように小分けにして保存すること。こうすることで無駄なく食材を使い、コストを安く下げることができます。冷凍できるものは冷凍します。
(家庭の冷蔵庫の冷凍スペースの容量増やしてほしい。野菜庫広くしてご満悦な顔してる場合じゃないぞ家電メーカー)
 
野菜の保存方法についてこちらが参考になります。さすがキューピーさん。


野菜を保存する|もっと野菜を。もっと食卓に。|キユーピー

 
ルームメイトは、野菜の干し野菜にも挑戦していました。

 

長期保存が可能な食材を買う
おもに乾物です。それまでぼくはせいぜい、昆布や干し椎茸、あとは乾麺ぐらいしかつかっていませんでした。しかし、ルームメイトが干しスルメを水で戻す実験を行ったとき、まさにイカが息を吹き返していくような現象に心底感心してしまいました。乾物すげー。今だにあの驚きを忘れることができないと同時に、乾物への評価が高まりました。
 

f:id:ocrock:20141203150708j:plain

スルメイカが戻っていく姿は感動的ですらあった 

 

ルームメイトが行っていた「やりくり」の基本は、
「安い時に大量に仕入れ、保存する」
でした。こんなごく当たり前なことなのですが、頭でわかっていても、Howtoをしらないとなかなかこの境地に辿りつけないものです。今思い返してみれば、実家で料理をさせてもらっていた頃にしていたのは、せいぜい「調理および補助」であり、「材料の仕入れ」については母親が行い、それに立ち会うこともありませんでした(ていうか、作りたいもん作りたいだけだからそんなん見てるわけない)
 

 
8. 「やりくり」したからって安くならない自炊
 
ということで、食材の「やりくり」を行なうとどうなるか。個人的な感覚だと以下のようになります
 
C --
材料費 -- 外食と同じぐらい。ちょっと安いぐらい。
機材費 -- ???
光熱費 -- どうしてもかかる
労働コスト -- めんどい
 
あれ、やりくりできるんだから、安くなって当然じゃないの?
でもそんなの外食産業だってもちろん「安い時に大量に仕入れ、保存する」に決まってるし、しかも規模が違います。なかなか太刀打ちできるものではありません。(もちろん献立によりますが)
 
自炊派は、外食派に勝てないのでしょうか。私自身も「外食行って300円で牛丼やカレーなどを食べられるのであればそっちがいいや」と長らく思っていました(今も思ってる)。ルームメイトの食材のやりくりを見た後でもそう思っています。
ただ、外食と自炊では確実にそして明らかに違う点がありました。
 
それは自分を徹底的に自炊派に肩を寄せる点だったのです。
 
 
後編につづきます。
 


自炊についてかんがえてみた:後編 - Tentative