Tentative

おもしろいとおもったことをもう一回かんがえるせいりするまとめる

今後役に立たないホテル隔離マニュアル

はじめに

2021年に入ってもコロナは落ち着かず、なかなか海外に行くことが難しい状況が続きました。2021年11月中旬、以前と同じもしくは条件付きで入国できるように緩和されはじめました。しかし、まだまだ特別なビザが必要な国もあります。たとえ入国が簡単でも、入国後に行動規制や帰国後に隔離されることがあるといった、そんな状況です。

そのような2021年でしたが、私は仕事で3度も海外へ行く機会をいただきました*1。2月末に中国、8月末と11月上旬に台湾でした。11月はだいぶ落ち着いていましたが、2月はまだワクチン接種した人はまだまだ少ない時期で第3波がピークアウトしたころ、8月はワクチン接種は徐々に進んでいたものの、東京オリンピック中に猛威を奮った変異株による第5波の真っ只中でした。

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https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/entire/

過去3回とも入国直後から始まる「ホテルでの検疫隔離」という2週間(ときには3週間!)を過ごすことになりました。この隔離は、自分が「ガチ隔離」と呼んでるもので、ホテルの部屋から1歩もでることを許されないという厳しい隔離です。おそらく今後はワクチンパスポートの活用や、ワクチンや薬の普及などでこのような措置が取られることは少なくなっていくことでしょう*2

以上の状況から、今後は役に立たないとは思いますが、万が一また海外でホテル隔離があった場合、これまでの知見を役に立てていきたいので、マニュアルっぽくまとめてみました。あくまで自分用の記事なので、これからホテル隔離の可能性がある方ない方、ご興味のある方は参考程度にお読みください。

 

今後、ホテル隔離を予定されている方へ

ご苦労さまです!もし少しでも参考になれば幸いです。もちろんご承知かとは思いますが、まとめている内容は渡航先によって大きく変わります。もし、事前にホテル隔離があるとわかったら、渡航先のエージェントや大使館/領事館に必ず確認してください。

 

まずは、「7つの心得」

ようこそ、14日間の隔離生活へ!
今から14日間、ホテルでの隔離生活が始まります。楽しみですか?それとも不安ですか?まずは、(少しでも負担を軽くして)楽しく隔離生活を過ごすために「7つの心得」を提案します。

  1. 自分はE.T.である
  2. ホテルに泊まるのではなく、生活をするという気持ち
  3. 理想高き完璧な14日間を過ごそうとしない
  4. 14日間の前のこと、そして14日間の後のことも忘れないこと
  5. 今みんな楽しそうに人生進めてるなぁとか考えない
  6. 健康でいること
  7. 休日(もしくは作業日)を作ること

 

1. 自分はE.T.である

渡航先の空港に到着してから自分に接してくる人は、もれなく防護服を着用しています。

「事前のPCR検査では陰性だったし、空港の検査でも陰性だったじゃないか…。なぜみんな防護服を来ているんだ、なんで14日間も隔離されなくちゃいけないんだ…」

といったように、自分への対応にいろいろと思うこともあるでしょう。ここは、「自分はE.T.である」と思ってすべてを受け入れましょう。まだ英語が通じるだけETよりマシだとすら思えてきます。地球人は我々を恐れています。E.T.だから。地球人が考える対応に従いましょう。


www.youtube.com

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E.T.の荷物を運んでくれる地球人のみなさん

2. ホテルに泊まるのではなく、生活をするという気持ち

隔離する場所が「ホテル」なので、宿泊サービスを受けるという気持ちになりますが、違います。「14日間、部屋の中に隔離するのに適した施設」だからホテルなだけで、「快適な宿泊サービスを提供したい」からではありません。シーツの交換や、洗濯、食器洗い、トイレやバスの掃除などすべて自分で行うことになります。ホテルから提供されるサービスは「配膳」と「ゴミの回収」のみと思っておきましょう。

 

3. 理想高き完璧な14日間を過ごそうとしない

14日間の隔離ときいて、不安になりながらも少しだけ楽しみな自分を発見するでしょう。大人になると、健康な状態で14日間も何もしないでいい時間、もしくは何をしててもいい時間を与えられることは(少なくとも日本では)滅多にありません。そのため、この14日間が夢のように感じられます。「Netflixであのドラマを全部見るぞ」「これを機に◯◯を勉強しよう、研究しよう」「禁煙しよう」といろいろ希望をもって隔離に入ります*3

大変結構なことですが、これらをすべてこなそうとしなくても良いです。隔離期間中に成果を出そうとしないでください。その目標が達成できずに凹まなくてもいいです*4。まずはこの14日間を終えることが大事です。隔離する部屋は「時と精神の部屋」ではありません。ただの部屋です。

 

4. 14日間の前のこと、そして14日間の後のことも忘れないこと

14日間の隔離生活は、隔離前のことを忘れさせます。毎朝、自宅でしていたルーティンなども忘れてしまいます。そして、ホテルの窓が開けられないと暑かったのか寒かったかも忘れます。忘れたくないことは紙に書いて家においておきましょう。

14日間の隔離生活は、隔離後のことも忘れさせます*5。隔離生活が日常となるからです。忘れないでください、14日間を終えた後は、隔離前の日常が戻ってくることを。特に、仕事で隔離生活を送ってる場合は、隔離後にいきなりトップギアの生活が始まります。アイドリングなんてありません。隔離明けの3日前から心の準備を始めましょう

 

5. 今みんな楽しそうに人生進めてるなぁとか考えない

SNSソーシャル・ネットワークサービスです。隔離中は、ソーシャルから離されてる身なので、SNSは刺激が強いものになります。SNSを見て、周囲の人間が仕事や趣味などを謳歌しています。「いま、自分の人生止まってるなぁ」とか考えないようにしましょう。隔離をしていることに罪悪感を覚えることもあるでしょう。それは正常な反応ですので、気にしないようにしましょう。じきに収まります。あなたはなにも悪くありません。

 

6. 健康でいること

「2週間、部屋にいるだけなのだから健康に決まってる」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。体調を崩すチャンスはいくらでもあります。適度に身体を動かさないと、体力が低下します。適度に身体を動かしましょう*6。普段、自ら身体を動かすことをしてない人は、身体を動かすための何かを用意しましょう。どうか、健康でいてください。

 

7. 休日(もしくは作業日)を作ること

14日間がすべて休日のように思えることもあれば、14日間がすべて作業ができる日のように思えることもあります。そのどちらも続けると疲れてしまいます。14日間をテンポ良く過ごすために、休日(もしくは作業日)を設定しましょう。

 

持ち物

○「ホテルでキャンプ」を基準に

基本的なものは、以前のブログ記事「海外のアパートで短期滞在をすることになったときの持ち物と心得」で書いたものになりますので、そちらを参考にしてください。

ocrock.hatenablog.jp


ただし、「キッチンがない」「買い物に行けない」といった点を考慮する必要があります。ここではホテルで隔離するにあたって、追加したものをご紹介しましょう。

 

体温計

渡航先によっては毎日体温を報告する必要があります。体温計が支給されることもありますが、支給されたものが昔懐かしの水銀の体温計で、計測に時間がかかったりして不便な思いをすることがあります。あらかじめ体温計を用意しておくと良いでしょう。

 

旅行用洗濯グッズ

隔離先では自分で洗濯する必要があります。旅行用の洗濯グッズを持っていきましょう。

www.muji.com

 

ロープ、S字フック

洗濯したものを干す必要がありますが、干すところがありません。日本のビジネスホテルのユニットバスには、「洗濯ロープ」なるものがあったりしますが、海外のホテルにはありません。じゃあ、どうするか。そこで、S字フックとロープをとりつけて、自分で物干しスペースを作り上げばよいのです!ハンガーは室内にあるので、持ち込む必要はないでしょう。

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左のような物干しスタンドを用意してくれるホテルもある。ない場合は、右の写真のようにS字フックやロープを駆使して物干しスペースを作り出す必要がある

 

入浴剤

湯船があった場合、バスタイムが心からリラックスできる時間となります。その時間を豊かにしましょう。交代浴という入浴方法があります。隔離前にこの方法を習得しておくと良いでしょう。

news.mynavi.jp

 

文房具

旅行のときに意外ともっていかない文房具。14日間を過ごすとなると、意外と使いたくなってくる文房具。自分の場合は「付箋」と「メモ帳」でした。ある程度、持参すると良いでしょう。基準は、小学校のお道具箱。

 

運動するもの、もしくは運動を誘発するもの

軽い運動をすると、意外とリフレッシュできます。
普段から、自宅で筋トレなどを行っていない人は、何かしら運動を誘発するものを持っていきましょう。自分は(隔離生活のためだけに)Nintendo Switchのフィットリングを買って持参しました。

YouTube見ながら、ラジオ体操するのでもいいでしょう。

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Nintendo Switchにはキャリングケースがあるので運びやすい

 

サプリメント

部屋に閉じこもっているので、日光を極端に浴びなくなります。ビタミンDのサプリをもっていったりするといいでしょう。健康のためというよりは、気休めです。

 

パソコン、iPadなど

言わずもがなです。ただし、ここで重要なのは中国に行く場合は、VPNが使えるPocket WiFiなどを持ち込んでください。中国のグレートファイアーウォールは強大です。YouTubeGoogleも使えません。息苦しくて死にそうになります。

国内での自宅隔離の際に、VRゴーグルを試したこともあります。YouTubeで海外の名所を360度で見回せるコンテンツだったのですが、遠くにある山々をみる体験が嬉しかったです。部屋にいると「遠くを見る」という動作がないので。

 

HDMIケーブル

ホテルにあるテレビにHDMI接続すれば、パソコンやiPhoneの画面を大きく見れます。これは国内出張でも意外と便利です。スーツケースにHDMI一本。

 

電源タップ

14日間を過ごすためにいろいろと小型電気製品を持ち込むと、室内の電源口だけでは足りなくなることがあります。そんなときは、電源タップがあると便利です。ここで大事なのは、電源タップにも使用可能電圧があります*7ワールドワイドに使用できる電源タップがあるのでそちらを準備しましょう。スーツケースに電源タップー本。

 

トラベルクッカー

食事は配膳されます。美味しいものものあれば、そうでもないものもあります。そして、ホテルから出される食事に飽きがでてきたりします。そのときにために、トラベルクッカーという電気調理器を持ち込みましょう(使用電圧要確認)。もちろん、日本の優れたレトルト/インスタント食品も忘れずに。調味料も!

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食器

トラベルクッカーを持っていく場合は、食器が必要です。それ以外にも、ホテルによっては防疫の観点からなのか、コップが紙コップだったりするので、マグカップも持っていくと良いでしょう。カトラリーも持参することをオススメします。

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食器用洗剤など

以上までしっかり準備したにもかかわらず、食器用洗剤を忘れました。ホテル側が用意してくれていたりしますが、中性洗剤を小分けしたものとスポンジを持っていくと良いでしょう。

 

できることとできないこと

ここでは、ホテル隔離でできたことと、できなかったことを記しておきます。以下に記すものはあくまで一例です。繰り返しますが、必ず滞在先のホテルやエージェントに確認してください。

 

○できること

Uberなどのデリバリーのオーダー

毎回提供される食事ではなく、自分が食べたいものがあった場合、デリバリーをすることを許されていました。ただし、ホテルによっては、それが許される時間帯があったり、部屋に運ぶまでに手数料を要求されたりします。

それ以外にも自分がほしい生活用品のオーダーに答えてくれることがあります。

 

外部からの荷物受け取り

外部から荷物を受け取ること、つまりエージェントや家族・友人などから差し入れが可能です。

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仕事仲間の娘ちゃんがデコレートしてくれた果物が届いて嬉しかった

 

×できないこと

外出

もちろんですが、部屋からでることはできません

 

外部への荷物発送

防疫の観点からか、自室から外部へ荷物を送ることはできません

 

喫煙/飲酒

喫煙は原則禁止です。
飲酒に関しては、ホテルのオーダー表にアルコールがないことがありますが、友人などからの差し入れで部屋に持ち込むことはできます。酔って暴れることを恐れているのかも。

 

シーツの交換

シーツは部屋から隔離期間が終わるまで外に出すことはできません。新しいシーツはオーダーすれば運んできてくれます。

 

ある男の隔離生活サンプル

ここでは、どういった14日間を過ごしていくことになるのかご紹介していきましょう。きっとなにか参考になるはずです。

 

出国前

まずビザの申請で四苦八苦します。コロナに関する状況は日々変わっており、ビザ申請に必要な書類がいきなり減ったり増えたりするなどして、非常に疲れます。

そして、出国72時間前にPCR検査を受けることを義務付けられています。入国する国によって、PCR検査や陰性証明書の内容が変わりますので、かならず外務省と大使館のウェブサイトで確認してください。渡航用のPCR検査を扱っているクリニックにいくと間違いありません。

ビザの申請で奔走してやっとPCR検査にたどり着くわけですが、もちろん検査の結果が「陽性」となることもあるわけです。そして、フライトも急に便がキャンセルになったりします。飛行機が飛び立つまで、本当に安心できません。

無事に出国審査を終えて、搭乗口へ行くと国内線とは違った雰囲気です。国際便の本数が減少しているため、大部分のお店がクローズしています。人もまばらです。

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国際便フロアはかつての華やかな雰囲気はなく、ひっそりしています

入国日(0日目)*8

空港からホテルまで

空港に到着してから隔離場所となるホテルに着くまで、いろいろなアトラクションが待っています。国によって色々と違うと思いますが、以下は一例です。

  • 渡航先で使用できる電話番号の有無
    • 毎日健康状態と現在地を報告するために、現地で使用できるGPS機能付きの携帯電話を所持することを義務付けられることがある。
    • たいていは、現地のSIMカードスマホに差し替えればOK
  • ウェブ問診票のQRコードの提示
  • 自室で行うPCR検査キットの配布
  • PCR検査のための唾液採取
  • など
  • あとは、普通の入国審査(通常より書類が増えてる)

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左)国内で使用できるSIMを購入 右)電子資料の提出やPCR検査を受けるなど

以上のアトラクションをおよそ1時間半ほどかけて制覇すると、ベッタベタに消毒されたスーツケースを持ち出して、次は検疫タクシーを捕まえてホテルまで移動します。あるときは、プールの消毒の匂いが充満したバスに乗りました。

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左)消毒された荷物
右)防疫バスでホテルへ向かう。車内はプールの消毒のニオイで充満してる

ホテルでの入口は一般の宿泊客とは区別されていて専用のエレベーターで自室のあるフロアに移動します。(ホテル全体が隔離ホテルの場合は、堂々と正面入口から)

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上段)ホテル全体が防疫ホテルだったので普通にフロントでチェックイン
下段)隔離者は地下駐車場の通用口でリモートでチェックインするパターンも
14日間過ごす部屋

ホテルによっては、床もエレベーターもビニールで保護されており、その上をスーツケースを転がすのが大変なときもありました。

自室の前には、椅子もしくは台が置かれています。これは、運ばれてくる食事などが置かれる台です。食事が運ばれてくるとまずはこの台に置かれ、ノックをされます。そしてのぞき窓から人がいなくなったのを確認してから、扉を開けて食事を回収することになります。

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左)床まで養生されたホテル
右)部屋のドア前に台が置かれて、ここに食事が置かれていく

まずは、14日間過ごすための部屋をリサーチします。窓は開くのか*9、湯船はあるのか、ポットの在り処、コンセントの場所、タオルの数、エアコンの調子、作業スペースなど*10

そして、ホテルごとプランごとによって変わる食事ルールを確認です。基本的にこの食事が今後の生活のテンポとクオリティを握っています。ホテルによっては、前日の16時までにオーダーしないと翌日のご飯が届かないという厳しいルールがあったりします。

 

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3回の滞在のうち、1つのホテルだけはウェブから食事をオーダーするというシステムでした。食べるものを選べる自由がありがたかった…。

まぁ、いろいろとあるのですが、初日はとにかく入国できたことを喜びましょう。ビザの確保や陰性証明書を取りに行くなど、今まで海外に行くときにはなかった綱渡りの状態を終えたことをまず安心します。特に今年自分が滞在した中国と台湾は、ビザの発行が難しく、日々状況が変わっていたので、毎日気をもんでおり、発行スケジュールが変わるたびに日本でのスケジュールも大きく変わり…など気づかれがとてつもなかったです。(関係者の皆様、本当にありがとうございます)。なので、初日はいろんな人とモノに感謝しながら寝ます。なにもしなくていいです。乾杯!

 

1日目(隔離生活初日)

朝。ノックの音で目覚めます。初めての朝食です。ここで、このホテルの食事に対する傾向を掴みます。コーヒーを飲みながら、本当にここから14日間も出られないんだ…という事実をゆっくりと受け止めます。そして、ノロノロと自室を作り始めます。

部屋を作っていると、健康状態を報告するようにとSMSが届くので、体温を測って報告しましょう。

昼食。この昼食を取り終えて、ついにこの部屋に24時間滞在したことになります。ここから本格的に始動してもいいでしょう。

 

2日〜3日目

少しずつ隔離生活にもなれ始めます。テンポよく1日を過ごせるようになって、「隔離生活、いいなぁ」と思うときもあるでしょう。仕事や勉強なんかをバリバリやっちゃったりします。

 

4日〜5日目

部屋から出られないので本当に海外に来ているかどうか不思議な気持ちが湧いてきますが、間違いなく海外にいます。そして、「部屋にいるだけという生活」に慣れてきたゆえの違和感に気づき始めます。(第一次ウンザリ期初期症状)

 

6日〜7日目

6日はオフの日にしましょう!

ここまで、まるでホテルに缶詰の文豪のような環境で隔離前の色んな仕事や、前からやりたかったことをぶっつけてやってきて息切れとともにウンザリしてきたでしょう。第一次ウンザリ期です。6、7日目は精神的に疲れてきます。一日休日としましょう。逆に、ここまでなにもしてこなかった人も、この毎日に疑問を持ち始めているはずです。今度は休まずになにかをやってみることを探してみてもいいかもしれません。ひとつの節目を迎えています。

 

8日〜11日目

ホテルによってはここで食事の献立が一周します。「お、これ先週も食べたな」という気付きがあったりして少しだけ嬉しくなったりします*11

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食事コレクション。旧正月のときには、たくさんの餃子が届いたことも。

そして、「第一次ウンザリ期」を抜けると、「このまま一生ここで過ごすのかなぁ」と思い始めます。もちろんそんなことはないし、自分自身もそんなことはわかってはいるのですが、そこそこの実感をもってこれを思えるようになります。

 

 
 
 
 
 
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タイムラプス動画でも撮ってみたりとかしてしまいます。

 

12日目

隔離を終えるためのPCR検査が行われます。初めて外出を認められ、ホテル前に到着しているバスに乗り込みます*12。このとき、12日ぶりの外に出て、外気温を感じます。「思いのほか温かい!」とか、「この国はこんな匂いがするのか」と、全てが新鮮に感じられます。

部屋に戻ると、いよいよこの部屋から出ることになるのかという、9割の期待と1割の不安があります。

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左)PCR検査バス 中)検査のときに、こんなホテルの外観だったのか…と知る 右)滞在していた防疫ホテルがパノプティコンっぽくて笑った。逃げられない!笑

13日目

前日に受けたPCR検査の結果がSMSで届きます。PCR検査を受けたことで、ついに外に出られるという期待が湧き上がりますが、それを維持するのに中1日は長すぎます。そこで「第二次ウンザリ期」がやってきます。この第二次ウンザリ期は部屋を出るまで続きます。あきらめて無理をしないようにしましょう。

 

14日目(隔離生活最終日)

明日、遂にこの部屋から出ることになります。隔離後もしばらくは観察期間などがあり、公共のイベントに参加できないなどの制限もあります。とはいっても、隔離が終わることへの嬉しさが勝ります。

ホテルや滞在国からも、隔離に対しての労いの言葉とともに、翌日のチェックアウトの段取りについて連絡があるので、ジワジワと実感が湧いてきます。

14日間を過ごし、自分用にカスタマイズした部屋を元のホテルの部屋に戻しましょう。感謝の念とともに。

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左)14日間のほとんどを過ごしたデスク 右)滞在中に飲んだボトルウォーターを見て人間には水が必要なのだなぁと当然のことを思ったりします

 

15日目(隔離開け)

おめでとうございます!隔離生活15日目の0:00、遂に隔離が終わりました。朝にホテルから指示された導線どおりにフロントへ向かいます。チェックアウトを終えてホテルを出た瞬間、まるで昨日到着したかのような感覚になり、そして外の空気の清々しさに心から感動します*13

今日から日常が始まりますが、14日間あまり身体を動かしていないし、人と直接会話をしていないので、非常に疲れやすい「隔離ボケ」*14なる症状が起きます。今日はなるべく無理をしないようにしましょう。2日もすれば「隔離ボケ」は治ります。それでは良い一日を!


さいごに

以上、「今後役に立たないホテル隔離マニュアル」でした。いかがだったでしょうか。

最初の隔離のときは2021年2月で、まだワクチン接種も始まっておらず混乱が続いていました。「ホテルで21日間も隔離する」*15という全く未知な機会で、21日間を生き抜くだけでとにかく精一杯だったし*16、今後はこのような隔離はないと思っていたので、なにもログを残していませんでした。

2回目は2021年8月末でした。このときにはすでに3回目の隔離(2021年11月)があることがわかっていたので、なるべく記録を残すようにしました。おかげで3回目はだいぶ過ごしやすい14日間でした。それでも隔離の大変さはありましたが…。その大変さは、14日間隔離後にやってくる時間圧縮ともいえる体験のせいで薄らいでいきます。その奇妙な感覚と隔離の大変さは日記に残されていました*17

「今後役に立たないホテル隔離マニュアル」というタイトルにしたのは、僕の希望です。新種株の発生などでコロナがどういう形で収束していくのか、どうやって共に過ごしていくのか、全く想像できません。ですが、また以前のように隔離なく国外に出かけて仕事をしたり、友人に会えることを望んでいます。このマニュアルが役に立たない未来が来ますように!

 

謝辞

ここまで書いたことは、隔離を終えたあと一緒に隔離をしていた人たちから伝え聞いたものも含まれています。みなさま、本当にお疲れさまでした!そして、これだけ厳しい条件にも関わらず、私を含めた仕事仲間を国に招いてくれた関係者の皆様のご尽力に本当に心より感謝します!

 

追伸

今日(2021年12月7日)は国内での自宅隔離最終日です!おつかれ、自分!

 

おわり

 

*1:つまり、2021年は3ヶ月間も隔離生活を送っていたことになります。その3ヶ月を費やしてでも成し遂げたかった仕事があったのです。

*2:…と書いていたら、新たな変異株であるオミクロン株が発見され日本でも症例が上がってきました。これまではワクチンを2回摂取していれば、隔離期間が3日間程度で済んでいましたが、それも撤回されています。

*3:半ば「ヤケクソ」なところもあります。

*4:Netflixのドラマを全部見続けるのに疲れてしまったし、教則本を制覇できなくて、「こんなにも時間があるのにやれないなんて、どんだけ自分は駄目なんだ」と凹んだことがありました。まぁ、本当にダメな部分もあるのでしょうが、環境が環境なのでそこまで深刻になることはありません。

*5:今回は書いていませんが、日本に帰国しても原則14日間の隔離生活があります。つまり、合計28日間は隔離して過ごすことになります。

*6:ある方は「人はどこまで身体を動かさずにいけるのか」という謎の実験をして見事に体調を崩しました。運動というか身体を動かすことは大事です!

*7:そんな当たり前のことを確認せずに、日本から持ち込んだ電源タップをパリで破裂させた。

*8:隔離生活の日数は入国された翌日からカウントされます。これ、よく間違えてスケジュール狂ってしまう人続出

*9:窓が開くか開かないかは、めちゃくちゃ重要です。ホテルを予約するときに確認するとよいです。

*10:最初の隔離のときはトイレの蓋が壊れていた。設営で行っていたので自分の工具で自力で直して事なきを得た。

*11:でも、味にもなれてきてウンザリし始めてるのも事実。ホテルで出された食事は大半美味しかったです。ですが、「ごはんは美味しいものを食べたいんじゃなくて、食べたいものが食べたいのだ。美味しいのはその次なのだ。」という気づきがありました。

*12:もしくは、白装束(防護服)をきた3人組がわからない言語(中国語/筆者中国語まったくわからず)が部屋に乗り込んできます。ひとりは長い綿棒をもって鼻に突っ込み、もうひとりは浴室に行ってなにかを拭き取って密封パックにしまい、もうひとりはベッドメイキングをしています。綿棒による検査を終えたあと、ベッドメイキングを終えた人が手招きしています。そして… https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210301/k10012891991000.html

*13: 21日間のホテル隔離を終えてホテルの外に出たとき、みんなで「この風景、一生わすれない」と話したのでした。

*14:隔離生活は、それまで過ごしていた日常を忘れさせ、隔離生活を送る中で作られる「新たな日常」を過ごしていくことになります。隔離後は、普通の日常と、それまで過ごしてきた隔離生活での日常がうまく噛み合わず、小さな混乱が自分の中で発生します。これが「隔離ボケ」です。とにかくテンポが合わないのと、時間の進みが早いので息切れします。

*15:2021年2月当時、北京に入るためには21日間の隔離が必要でした。

*16:仕事で行っているので、ホテル隔離という環境下で隔離明けの仕事の準備するのがかなり大変だった。

*17:「曜日の感覚がずれる 時間の感覚もずれる(特ににアジア圏だと1〜3時間程度の僅かな時差が逆にキツイ/別途時計を持ち込んで対応)」

「…そう思うと、人の記憶というメカニズムはどういうものだろうと考える。確実に過ごしたこの2週間があっという間になきものになっていく。その2週間はブランクとして他の記憶に領域を明け渡す。過去のホテルに到着したあの瞬間が、今朝ホテルを出た瞬間に接続しようとする。」

「確実に貴重な体験として生涯忘れることのない2週間だけど、何も起きていない2週間なので、非常に奇妙な記憶の残り方をする。」

「記憶が空間によって呼び起こされる。『かまいたちの知らんけど』濱家が涙…スーパー・イズミヤへ最後の挨拶の事例。https://hiko1985.hatenablog.com/entry/2021/09/13/220623

しかし、自分は、またあの部屋に戻ってなんの記憶が呼び起こされるのだろう。いま、薄れゆく感覚の中でこれを書き留めておく。」

「…相対性理論的にも動いていない自分は他の誰よりも過去にいる(ただし、それは一兆分の1秒以下だと思う)。そのほんの一瞬が生み出してる感覚なのかも(適当)」

About Online Stage Manager / Four Style of Online Event

This article in Japanese was posted in Nov. 2020. I tried to translate it into English with my friend's support. Thanks, Clarence and Reiri!!

If you find strange a sentence or word, please comment on it.

 

Introduction

One day, I received a grateful request from the Sumida City Cultural Promotion Foundation to give a talk online about my activity as an Online Stage Manager.  It was a good chance for me. 
Because I felt that the social mission of Online Stage Manager had ended and I have wanted to string my thoughts together about my activity from May to November 2020.
In this article, I am going to define Online Stage Manager while sorting and referring to some online events into four styles and to consider what is the next step of an Online Stage Manager.

About the Online Stage Manager

I checked my Twitter and it seems that I noticed that I became an online stage manager on April 21st of this year.

“Now I am starting to get the business of Online Stage Manager and have already joined 3 projects. The Covid-19 era starts.”

I temporarily defined the Online Stage manager as below.

Online Stage Manager is a staff who manages the overall progress of an event that takes place only online.

Timeline

I think the social mission of an Online Stage Manager is finished. Then, when was the existence of an Online Stage Manager more important? 
On this topic, While referring to NHK news about Covid-19,  I am going to summarize how our society has changed with the virus.

  • January 16th:  The first Covid-19 infected person was found in Japan.
  • February 3rd:  The ship with Covid-19 infected people arrived in Yokohama harbor.
  • February 27th:  P.M. Abe requested to let all schools close.
  • February 29th:  Almost all museums in Tokyo are closed.
  • March 22nd:  The Fighting Event K-1 took place in Saitama Super Arena.
  • April 7th:  Japanese Govt. declared a state of emergency in seven prefectures. (It was soon nationwide.)
  • April 11th:  The number of infected persons per day was over 700.
  • May 21th:  Japanese Govt. ended a state of emergency in 39 prefectures. (It was soon all prefectures.)
  • June 2nd: Tokyo declared “Tokyo Alert”.  The Governor of Tokyo gave attention to avoid infection.
  • June 19th: Japanese Govt. loose people the regulation of moving across prefectures.
  • July 12th: The baseball teams resumed play in a stadium with an audience. But the number of audience in the stadium was limited.
  • July 22nd: Japanese Govt. started the “Go-To Travel” campaign*1
  • August 1st: The Govt. has loosened the number of event visitors limit.
  • November 3rd: Japanese rock band - THE YELLOW MONKEY - held a live event with 19,000 audiences in Tokyo Dome stadium. *2

The period is called “Stay Home Period” in Japan. Almost all economic activity stopped, and there were no people in the city as we stayed at home and did not go out.
Shibuya is one city in Tokyo but it was almost empty. The large LED vision put on the building showed the Governor of Tokyo spoken to avoid the virus. Who was she giving a speech to? It was like a dystopia. *3

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“Stay Home Period” ended for one month and a few weeks. In the period, the event could not take place normally, because both artists and staff could not gather in the same place. Therefore, many online events began to be organized. In the situation, "Online Stage manager” was increased to be needed.

Case One:  “Stay Home Style”

In “Stay Home Period”, the below sketch can explain how events were organized.

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In this format, every person (all artists, staff, and audience) access the same event space on the internet from each home. 

Reference List

I did not join the events on the list. But they are important events, I think. 

  • Travis Scott and Fortnite Present: Astronomical *6
    • Music live on Fortnite (Fortnite is an online game)
    • YouTube
  • TOKYO 03 comedy group “We are far apart from each other.” *7

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I joined these events below, so I am going to explain more details.

YCAM Sports Hackathon 2020” + “Yamaguchi Future Sports Day 5”

vimeo.com

Yamaguchi Central Art Museum[YCAM] has organized “Sports Hackathon” and “Yamaguchi Future Sports Day” every year.  I have joined them as stage manager for several years. This year, it was not easy to organize normally. But YCAM staff, especially YCAM Interlab Members, and UNDOKAI Association staff planned to do everything online. The theme is “But do that with everyone. All competitions are the world's first. The forefront of sports events!”. It’s so emotional! I got a lot of knowledge and skills at this event. Thanks to all staff and guests!

DrillBros  Open.mtg #20 *8

youtu.be

This April, I expected that many events would take place using the video chat applications, for example of Zoom.  So we tried to use it and organized an online meeting event. I attached this movie link and a link of the materials distributed to business acquaintances. 

DIY MUSIC on Desktop
  • Sound Live

www.youtube.com

Some artists played the DIY instruments on their desks and I distributed their performances on YouTube. Besides, The BreadBoard Band members as hosts of this event talked with them. Everything was done on Zoom.

Virtual Theater - Short Play Festival TOMEKOME Preview *9

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In August, “Virtual Theater - Short Play Festival” I joined as an advisor took place at Wingfield Theater in Osaka.  In commemoration of release archive videos, We organized the online talk event. I was in Tokyo, other staff were in Osaka. (It is over 400 km between Tokyo and Osaka.) 

Break - TimeLine 

We are checking the timeline again.

  • April 7th:  Japanese Government declared a state of emergency in seven prefectures. (It was soon nationwide.)
  • April 11th:  The number of infected persons per day was over 700.
  • May 21th:  Japanese Government ended a state of emergency in 39 prefectures. (It was soon all prefectures.)
  • June 2nd: Tokyo declared “Tokyo Alert”.  The Governor of Tokyo gave attention to avoid infection.
  • June 19th: Japanese Gov. loosened the regulation of moving across prefectures.
  • July 12th: The baseball teams resumed play in a stadium with an audience. But the number of audience in the stadium was limited.
  • July 22nd: Japanese Gov. started a “Go-To Travel” campaign. 
  • August 1st: The Government has loosened the number of event visitors limit.
  • November 3rd: Japanese rock band - THE YELLOW MONKEY - held a live event with 19,000 audiences in Tokyo Dome stadium.

On the 21st of May, A state of emergency ended, and the Ministry of Health, Labour and Welfare announced let us start “New Lifestyle”. Museums, Theater, stores, and every place people gathered restarted under strict rule. Social distancing, wearing masks, keeping silent and using hand sanitizer, etc. In particular, the number of event admission was limited by 50%. But almost all organizers could not plan the event inviting audiences immediately. The reason was they were afraid of infection of Covid-19. Therefore the no-audience event took place for a while.

Case Two:  “No Audience Style”

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This style is that artists and staff gather at the same place but audiences are not there. The audiences can watch the event via the internet using a PC, cell phone, and more.

Reference List

Rohm Theater Kyoto “PLAY! Theater at HOME 2020”

This event was organized every summer at Rohm Theater Kyoto but online this year. Talking, Concert, Dance, Music Live, and more! Several broadcasts were distributed somewhere in the theater at the same time. I want to let you see the time schedule of it. How exciting and difficult it is to organize this event! 

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DAIFUKU presents DISCOVERY HACKATHON

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The hackathon took place at FabCafe Tokyo. Over 60 students participated in it from all parts of the country. Of course online. This hackathon is organized every year but it wasn’t the same event perfectly this year because of Covid-19.  After the event, some staff said “See you next year! ”. When I heard it, I was glad that this event could continue without stopping.

Miyu Hosoi “Vocalise”

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This telepresence performance was performed by Miyu Hosoi. She performed using her voice in an anechoic room at NTT Intercommunication Center[ICC]. This voice was sent using Zoom to a reverberation room at ONO SOKKI and output from one powered speaker. Besides, the output voice was input by a microphone, broadcasted to YouTube. The details are on her website. *14

Chiharu Shinoda Online Performance “The 5×5×5 Legged Stool” at YCAM
  • Dance Performance / Lecture
  • Website
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This performance style was the simplest “No-Audience Style'' for online events. But this stage was like a desktop on a laptop! This performance progressed depending on Anna Harplin’s dance score. Performer and audience migrated some space-time. When the audience had finished watching the performance, they got a strange feeling that when did we watch it, how did we do it, who did we do it with.

Case Three: “Public Broadcasting Style”

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Public broadcasting is the broadcasting and recording of television and radio programs with the audience. (Quoted from Wikipedia Japan.)

The broadcasting was done before the Covid-19 pandemic. However, the following points are different from the previous ones.

  • The rate of using the audience area is not 100%.
  • Increasing paid broadcasting events.
  • We have gotten used to watching online events.

Reference List

Many events have been done in this style. There are two events I want to pick up.

Virtual Theater Short Show Festival

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I joined the “Virtual Theater Short Show Festival”  as an adviser. 
“Could we create different expressions for the audience in theater and audience online each at the same time?” “Could we remain the expression and the result of experimentation to theater artists 100 years from now?” was the concept of the festival. 

SEIKO HOUSE vol.9

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When I organized “SEIKO HOUSE vol.8”, we could not invite our audience, therefore the event was “No-Audience Style”. But vol.9, they came back to the CBGK Theater!  At the request of the government, the rate of using the audience seats had to be held to 50%. So we also broadcasted the event for the audience who could not join it.
At this event, when the theater opens before the show starts, there is s special content for audiences to have fun. The content is using the “Audience Sit Down Judge System” in which some computers judge whether the audience sits down or not and the visual projected on the screen changes depending on the result.
At this time, we could use just 50% seats. So, our challenge was how to describe the seats that were not used. Our idea was that when two audiences sit down across the no-used seats, the online audience will appear on the no-used seats. Like a game of reversi! lol. I wanted to feel the online audiences were nearby.

Yamaguchi Prefectural Art Museum x Yamaguchi Cultural Art Center [YCAM] Online/Onsite Workshop Event “Invent your way to watching”

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Do you know “Blind Talk”? A blindfolded person and a person looking at the work are paired up, and the latter tells the former about the work in words.
In the workshop, the on-site audience, who were in the museum, were blindfolded persons and the online audience, who participated in the workshop via the Internet, saw the work and communicated it with words.
At first, the onsite participants could not see the work.
The online participants saw the work picture which was taken on high resolution and told onsite participants about the picture with words. After, the onsite participants saw the work directly. But the work exhibits in a showcase for saving, they have to see it from 1 meter far.
“ I can see the work, but it is a photo” “ This is real, but I can not see it well.”
This workshop is to learn to appreciate and to experience the difference in the resolution of information between real and copy. It is a very rich workshop, I think. *16

Case Four: “Hybrid Style”

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There are audiences in both the online space and the onsite space. To the online guest, the event is broadcasted via the internet. It is called “Hybrid”. But I do not think it is Hybrid. A true “Hybrid” would be the form in this diagram.
The audiences are onsite and online, and the performers are onsite and online as well. There are not many examples now. So I am going to introduce the event that I joined.

APAF Exhibition 『フレ フレ Ostrich!! Hayupang Die-Bow-Ken!』+Happy Birthual Tamago Party

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Tokyo Festival 2020 APAF Exhibition "フレ フレ Ostrich!! Hayupang Die-Bow-Ken !" Photo: Kazuyuki Matsumoto

The performance was presented in APAF(Asian Performing Arts Farm) 2020. APAF reported the article of the event on the APAF website. If you read it, you would know how hard the performance is and how many things it suggested. Please check it. (But this article is Japanese only.. sorry..)

medium.com

The scope of the online stage manager

I classified broadcasting events In the Covid-19 pandemic into four groups. In Addition, I try to classify them by whether they are online or not.  

  1. Stay Home Style
  2. No Audience Style
  3. Public Broadcasting Style
  4. Hybrid Style

I have experienced the events I introduced in this article, I feel that the scope of the online stage manager should be just “Stay Home Style” only”.
Why? Around the work, 2 stage managers are not needed. If there are 2 managers, the staff will be confused. And I would be confused myself. “Which instructions are more important, by the stage manager or the online stage manager?” 
When I joined the “Public Broadcasting style” event as the online stage manager, I was confused and worried secretly. The camera staff saw through my confusion post a photo and comment on Instagram.

 
 
 
 
 
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So, What occupation is to adapt the least 3 styles? Yuko Uematsu, APAF staff, suggested the “Online Technical Director” instead of "Online Stage Manager".

Online Technical Director

“Online Technical Director” is to connect the activity onsite and online. 
Almost all professional staff have been confused by mixing the online and onsite in the present situation. I have seen them pray to god because everything does not go smoothly.

"Online Technical Director" removes their worries and supports them to create new expressions and activities.

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  Online Stage Manager Online Technical Director
Contents Managing the event. 
Suggest the web tools everyone can use in broadcasting.
It will be more of directing and providing technical solutions in relation to specification that can cater for online / onsite expression.
Scope All of the event a part of the event
Development of broadcasting environment Because each person stays at their home, they need to set up a broadcasting environment themselves.(Supporting to connect to the internet via the internet.) Development of broadcasting environment onsite. Arranging the operators.  Sometimes arranging the operators, too

The online Technical Director seems more simple than the online Stage Manager. It’s ok. 
From now, many events will be broadcasted. So, the online technical director is going to be on events as a matter of course. Therefore it is better for their name to be simple.

Conclusion

I put the stage manager, the online technical director, and 4 styles of the online event together on this article. Such a long article!!
Many people told me “There will be many jobs for the online stage manager from now”. But I could not agree.
A person who said that to me may combine “online stage manager” and “online technical director, '' and feel that they are the same.
The online stage manager’s big role like the rescue team has come to an end. From now, their presence will become like a town doctor. Many people could be online stage manager.
And the online technical director will join the middle or more scale of the event, I think.

Thanks!!!!

These jobs are new for me. I had not understood these jobs well yet. So I could not explain many people who let me join each job and I could not complete all the work which they wanted to let me do, I feel. I would like to show my appreciation to all of you who work together. Thanks.

Postscript

How is “Public Viewing”? Japanese Karaoke room like the contemporary church?

In this article, I would like to put 4 events on the Covid-19 pandemic together. So I did not write about “Public viewing style”. In Japan now, people can not be together in an unclosed tiny space because of preventing Covid-19 from spreading. Most organizers of the live event do not recommend that way of seeing the program.

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There are a variety of public viewing styles


Recently, we can use the internet in karaoke rooms. So, some people go to the room and see the live broadcasting. It is so fun to watch it with friends, so they want to do it. 
Distribution copies the idol. Some people worship it and sing a song together. This situation is in many Karaoke rooms in Japan. Therefore the karaoke room is like a church, I feel. lol.

@matsurixdd

まいやん卒コン対ありでした!ドームで見たかったけど卒コンでみんなでコールできてよかったです!!#乃木坂46 #白石麻衣卒業コンサート #ガールズルール #白石麻衣

♬ オリジナル楽曲 - まつりまつり

This movie was recorded and posted in 2020.

What's a rich appreciative experience?

About the stage play and the live event, It is best to experience it live, most people have said for a long time. When live broadcasting was very popular 10 years ago, “As live broadcasting increases, live event’s aura become stronger.” I feel it too.
But the value turned over.
The performance I joined as an online technical director went ahead in Tokyo Art Theater. The theater had strict rules to prevent Covid-19. The seat was separated largely, all audiences had to wear each mask and sterilize their fingers. They were forbidden from chatting.
This performance was attended by audiences. Aokid, a dancer, greeted the audience in the theater and online participants. Online participants could say something but the audience in the theater did not.  As the story progressed, online participants drew a picture and ate some sweets. In the theater, they could not do that. Just watching.
After the performance, we checked the questionnaire by the audience. Some comments of the audiences in the theater are “We were not free. We were uncomfortable" with negative feelings.
Even at the festival that preceded this performance, most audiences said “We are happy to be watching it in the theater. Therefore,  I was surprised by the opinions of the audiences in the theater. In this time, we can analyze the rich appreciative experiences, I feel. The timing of consideration has come. 

*1:"Go to Travel" campaign is the government covering several percentage fees of travel instead of tourists. It was going to start from the end of summer but the government did early.

*2:This live event has a very important meaning. At first, this was organized with 19,000 audiences in a large space. Next, it was ROCK MUSIC LIVE. The large-scale of events like this was rare yet in the world at this time. 
Sep. 11th, Japan government institutions “COVID-19 Information and Resources” deregulated the number of event admissions. But they divided between the event what the audience shouted and not, and changed the rule to each. The latter has been regulated strictly yet now. Under the situation, this event started and achieved success. Because all artists, staff, and audiences cooperated with each other. After two weeks after the event, the organizer announced that nobody infected the virus.  

*3:We can check the strange sight of Tokyo at that time on a music video of NOGIZAKA46. NOGIZAKA46 is a Japanese girl's pop music group. The video is very important reference material, I think. https://www.youtube.com/watch?v=1gD76kKWKsE&feature=youtu.be

*4:This play was released at the beginning of May. So early it was! The form of playing was smart and simple.

*5:The style of a play using Zoom was called “Zoom Theater”. In the story, the characters were students who could not go to the university from entrance to graduation. They always joined classes and parties from their home. This story suggested the real-life of Japanese university students. Currently, they have hardly been able to go to the university yet.

*6:Travis performed live music on "Fortnite". "Fortnite" is an online game and people throughout the world play it.. When I watched YouTube, this event looked like the future, I think. Certainly, we are able to do everything in the game world. Artist’s scale would be big like some building, and the audience could fly. This event proposed to be a possibility of a live event in the future.

*7:During the period of Stay Home, many Japanese comedians tried to do an online show. This showing was especially great as it made use of the characteristic of Zoom.

*8:Drillbros is a creative unit. Takashi Hongo and I have activated it since 2010. Mainly activities are research on the relation of live events and movies. Recently, we started the “2022” project.

*9:TOMEKOME - this means stopping a movie and doing comments.

*10: I was surprised by the graphics of this game “GRAN TURISMO”. It was very realistic and beautiful. And in this show, the style of the motorsports tv show was expressed using a web camera for driver / player. Particularly, the screen layout. It looks easy to realize it but not. I am sure the staff researched many things and experimented many times.

*11:HONDA Theater Group has many theaters at Shimo-Kitazawa in Tokyo. In this pandemic, those theaters must be closed. In June, the main theater reopened with no audiences and broadcast. This broadcast sold paid tickets. Until this time, broadcast via the internet was free basically.

*12:The broadcast of music concerts before pandemic always distributed just the performance on stage. And cameras were placed not to disturb the audience watching the show. In no audience situation, seats do not need to be placed. Therefore the camera could be placed anywhere and moved. Broadcast changed from a flat expression to flexible. Some artists who could dance and sing adopted this style.

*13:This is a good example of how much work an ad agency and a production company can do remotely to promote a product. We're just playing rock-paper-scissors remotely, lol. I've always been told that online events are "easy to do", so for those people, I showed the scene at the beginning of this video where a lot of equipment is set up.

*14:After all, I did not meet her directly once while preparing for one month.  lol.

*15:This is my best piece of Japanese performance published online in 2020.

*16:In the workshop, these staff used many ideas and techniques that they experienced in many online events. They all understood what we need to pay attention to in online events. Each staff member was positioned as suitable. In the event in this style, the organizer often lets either onsite guests or online guests feel alone. To avoid this sad situation, the organizer sent the facilitator and supporter to online space and onsite space, and they always cared for the participants. 
This system would be beautiful, I said to this event organizer. If I organize the online event, I will think about it based on the workshop. 

(舞台芸術作品における)テクニカルディレクターという仕事 〜ヌトミック+細井美裕『波のような人』製作日誌より

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ヌトミック+細井美裕「波のような人」 © Naoshi Hatori

はじめに(2021年5月)

この記事は、ヌトミック+細井美裕『波のような人』にテクニカルディレクターとして参加した際に製作日誌として書き留めていたものを抜粋し、後日加筆修正を行ったものです。

4月21日の内容は、細井美裕(*1)さんから提案されたシステムとその開発について書かれています。ここで書かれていることは、「テクニカルディレクター」の仕事ではありません。テクニカルディレクターの仕事と重なる部分もありますが、どちらかというと「プログラマー」もしくは「エンジニア」です。
では、この舞台作品の「テクニカルディレクター」として、私がいったいどういう仕事をしてきたのか。それに対する考察(というか反省)が、本番初日の4月27日の日誌に書かれています。

2021年4月21日

データ化した男のカタチ

ヌトミック+細井美裕『波のような人』は、カフカの「変身」を原案とした舞台作品です。原作では男は「虫」になりますが、今回は「データ」です。サウンドデザインを担当している細井美裕さんから最初にお話を頂いたときは、「人の動きをセンサーなどで取得し、それをその男のデータとしたい」とのことでした。
そこでまず頭に浮かんだのは、山口情報芸術センター[YCAM]のインターラボとフォーサイスカンパニーのダンサーである安藤洋子さんとで共同開発されたRAM(Reactor for Awareness in Motion)でした。RAMはダンスの創作と教育のために開発されたもので、これを体験するダンサーの動きをセンサリングし、その結果をグラフィックや音のフィードバックとしてダンサーに返し、創作に役立てようというシステムです。

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撮影:田邉アツシ 写真提供:山口情報芸術センターYCAM

RAMを利用することで細井さんの希望は叶えられるのではないかと提案しました。細井さんはこのシステムを利用したプロジェクト(イスラエル・ガルバン+YCAM 「Israel & イスラエル」/2019)に参加していたこともあるので、もちろんこのシステムはご存知でした。ところが、どうもRAMを使えばOKというわけでもなさそうでした。

うまく言語化できるかわかりませんが、「人(ヒト)の動きを取ることに間違いはないが、それは人間の形をした身体の動きではなくてもよい」という印象を細井さんから受けました。RAMはダンサーに自身の動きをリファレンスとしてもらうためのシステムであるので、その動き、ダンサーの人間の形をした身体の動きを正確に取得する必要があります。ただ、今回はすでにデータ化してしまった人(ヒト)の動きを表現することを目指しているので、RAMを使用した方法だとあまりにも具体的にデータが取れすぎる。したがって、もう少し輪郭が曖昧な形でデータを取ってもよいのでは?ということです。

曖昧でいいとなると技術的要件は下がり、iPhoneを持ち寄ってレコーディングすればええやんとなりました。幸い、日本はiPhoneユーザーが多いのでほぼ同じ端末が容易に集められました。助かったー。イチからセンサーづくりとかしてたら膨大な時間が必要だった…。

後日、RAMについてYCAM InterLabパフォーミングアーツ・プロデューサーの竹下暁子さんに問い合わせたところ、「必ずしも人形ではないフィードバックもあります。全身の関節をつなぎ直して一本のラインにしたり、モーションデータの変化を色のバーで表したりと、ダンサーのリアルタイム(もしくは過去の動き)と連動する形で、どうダンサー自身に自分につながっているという実験込みで彼らの動きのアイデアを刺激できるかという意図がありました。(参考映像:https://vimeo.com/64771989)」と丁寧にコメントを頂きました!ありがとうございます!問い合わせついでに、お写真までお借りしてしまった…感謝感激。いつもありがとうYCAMさま…

じゃあ、RAMをお借りしてやればよかったんじゃないかとも思うのですが、たしかにその通りで。ただ、RAMを使用する場合には、本体機材と、それを操作できるYCAMのインターラボのメンバー、場所、予算、時間などなど…現実的な問題が大きくあります。その点に関しては、今回のようなシステムでも作品性や作家の要求する内容に応えられているので良かったのではと思っています。

レコーディング時のリファレンス

iPhoneで動きをレコーディングするにあたって、細井さんからもデータロガーのアプリ(センサーの値を記録するアプリ)をいくつか提案してもらいました。

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“Sensor logger”と検索するだけで山ほど出てくる

しかし、ほとんどのアプリがiPhone内にログを残すものでした。iPhone内に保存されたデータを利用するのでも問題なかったのですが、いろいろと検討した結果、リアルタイムにiPhoneのセンサーの値を通信してくれる「GyrOSC」を採用しています。GyrOSCを採用した理由は、RAMと同じ効果を狙ったためです。ダンサーの動きを取得し、それをリファレンスとしてダンサーにリアルタイムに返すことで、ダンサーの動きを変容させようとしました。(*2

ただし、今回は人間の動きを忠実に取得しようとはせず、乱暴に言うならばiPhone都合で値をとり、それをフィルターをかけたり修正することなく素直に波形→音に変換しリアルタイムに出力することでそれをリファレンスとしました。筋肉の筋(すじ)的にはかなりの負担がかかっているのに、iPhone的には360°回転してゼロに戻ってたり(つまりiPhone的には特に変化していないことになっている)します。

体への負荷と結果が一致しないのは、プログラミングしている立場から考えると、あまり気持ちよくはないのですが、「この気持ちよくなさも人間都合よな」と思ったら合点がいき、センサーの値、データだけをただただ処理することにしたのです。

このことで、ダンサーの動きに不自由さ/不都合さ/窮屈さ/散漫さを与えられると考えていました。ダンサーの身体感覚を破壊していくような気持ちにもなりました。
今回、ダンサーの岩渕貞太さんに参加してもらいましたが、このことは特に説明していません。しかし、数分のレコーディングの中で人間都合からはみ出した動き(つまり、センサーが反応しやすい動き)をしているように見えたので、正しかったのかなと思っています。

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iPhoneを身体に装着して動く岩渕貞太さんと、それを見つめる演出・額田さん

手にしたデータ

自分に技術がないと表明しているようであれなのですが(実際、自信があるわけではないのだけれど)、身体中にiPhoneを5台取り付けて(*3)、信頼性の低い通信方法だと、せっかくのセンサーの値もこぼれまくって(損失して)います。一応、時間の同期もとっているのですが、厳密ではありません。これについては念のため、細井さんと話しましたが、「別に大丈夫じゃね」となりました。

私の個人的な解釈なのですが、物語で人間である兄はデータ化します。その過程で全てが漏れなくデータ化するとは思えないし損失やノイズも加わるだろうし、心臓をベースにした時間軸も、筋肉の連動も骨のつながりもないだろうから、時間の同期も完璧でなくていいだろうと考えました。よって、技術的にも追い込んではいません。そういった過程で手にしたデータの不完全さから、詩的/劇的/霊的なものを(個人的には)感じています。(*4

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およそ1秒間ぐらいのiPhone3台分のデータ

データ→音(Sound Wave)

私の仕事の最後は、取得したデータを「音」にしてサウンドデザインをする細井さんに渡すことです。そこで、取得したデータを波形にして音に変換するシンセサイザーのようなソフトウェアを制作しました。音系のプログラミングをしたことがなかったので、シンセサイザーの基礎的な知識をリサーチするところから始めました。レコーディングされたiPhoneの三次元上の動きをそのまま使用するだけでなく、その情報を一次元に分解できたり、時間の圧縮/膨張を可能にするなど、音化するためになるべく自由度が高い状態で設計しました。そのソフトウェアを細井さんに託し、細井さんが調整した値を元にサウンドファイル化→細井さんの作業環境へと引き継がれていきます。

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今回のために制作したソフトウェア

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調整する細井さん

音→演劇空間へ

私が担当したデータに加え、様々な空間で収録した声や吐息などの音声データ(*5)が、劇場のマルチチャンネルシステムを介して、我々が認識できる現実の空間/時間軸上に細井さんによって配置されていきます。その作業をしている細井さんをずっと横で見ていますが、どういった塩梅でデータ(音)を配置すべきか苦心しているように見えます。(現実世界にエンコードしているとも言える)

テレビの心霊番組のように、電磁波の変化をで検知し「霊が怒ってる…!」と視聴者にわかりやすく表現や結果を結びつけることは可能(*6)です。

しかし、今回はデータ上に感情が残っているのか、残っていたとしてもそれは私達が認識している評価軸に当てはまるものなのかはわかりません。データとしての数値が0.1から0.02に変化したとして、私達からしたらそれはただ0.08だけ値が減少したに過ぎませんが、それが当の本人(登場人物の兄)にとっては怒りの感情かもしれません…(*7

演劇(にもいろいろありますが、ドラマが展開する舞台に関して)はある種の論理的整合性が求められます。そんな中、さきほど例にあげたような「わかりやすさ」(具体性が高い、イメージが限定的、筋が通る)と、データの数値の変化を例にした「わかりにくさ」(抽象度が高い、イメージが浮遊し肥大=豊潤さ、筋が通らない)のバランスを取りながら、限定された空間/時間を持つ演劇空間にこれらを配置していくという非常に困難な作業に細井さんは立ち向かっていました。

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立ち向かってる

2021年4月27日

本番初日の朝を迎えています。音響システムサポートの久保二朗さん、今回録音を担当したサウンドエンジニアの葛西敏彦が急遽劇場入りして、最終的な音の調整に入りました。二人のエンジニアがサポートに入ることで、アーティストである細井美裕のサウンドデザインがみるみるうちに組み上がっていきます。エンジニアすごい。

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左:久保二朗さん、右:葛西敏彦さん 中央:風神雷神に挟まれてる細井さん

さて、その作業ブースとアクティングエリアを挟んで逆サイドにある客席に座って、必死に作業をしている3名の世界を見つめながら、自分の仕事について思いを巡らせています。(*8

舞台芸術における)テクニカルディレクターという仕事

今回の作品では、テクニカルディレクターとしてここまで関わってきました(*9)が、そもそも演劇の現場でテクニカルディレクターってなんやねんと思います。現場には舞台監督(今回でいうと愛知県芸術劇場の世古口さん)さんというスタッフさんを統括する方もいるわけですから。

まず、この仕事を考えるときに思い出されるのは、先日、メディア芸術祭で優秀賞を受賞したサウンドアーティストのevalaさんによる映画作品《Invisible Cinema "Sea, See, She -まだ見ぬ君へ"》。ここでは舞台監督として参加させていただきましたが、今思えば「舞台監督+テクニカルディレクター」の両面の仕事をしていたかと思います。evalaさんが実現したい音響空間を、テクニカルディレクターとしてテクニカル面からの解決方法(ディレクション)と舞台監督としての実働(マネージメント)が必要となった場面がいくつもありました。

反省

そんな働き方から舞台監督の業務を切り離して挑んだ今回の現場は、平台と箱馬の匂いが香る「演劇」です。舞台とメディアアート*10)では、使用する言語も現場感覚も時間感覚も違います。自分は舞台の世界にいたので、演出家、俳優、スタッフの気持ちもわかるし、メディアアートの世界にいるので、アーティストとエンジニアの気持ちもわかる。わかりすぎて身体が千切れそうになるくらいしんどいんですが、しんどがってないで、両方の気持ちや言語が理解できるんだから、通訳的にちゃんと双方からヒアリングをして、舞台監督さんとディスカッションし、現実に落とし込む作業というのがもっと事前にできただろうと反省しています。(現場での喫煙所でスタッフさんとディスカッションしながらやっと気づく。*11

  • 作家が実現したい表現に対してのヒアリング
  • ヒアリングを元にした技術課題の抽出
  • 技術課題の検証、解決→技術要件へ
  • 技術要件の実現と情報の共有
  • 各パートとの調整(プロトコルやタイムラインの整理)
  • 現場マネージメント(舞台監督)とのスケジュール調整
  • 作業環境の整備
  • などなどなど

まったくできていなかったわけではないけど、もっとできたよな…。ていうか、これまでの舞台はこれをすべて舞台監督さんが担っていたかと思うと本当おそろしい存在だよ、舞台監督…。

良かったこと、気づいたこと

たくさん反省をしていますが、良かったこともあります。それは、舞台の世界から大きく外れてから携わってきた仕事が、またその世界に接続できそうだということに気づいたこと。そしてテクニカルディレクターという仕事が100〜500人以下の劇場にも必要になってきていること*12)。メディアテクノロジーが融けてきた証拠だろうな。大阪の若手劇団も、台本読みもiPhoneで読んでたし、ダメ出しもEvernoteで書いてたしなぁ。

あとがき(2021年5月)

個人的には自身が参加していたhmp《ハムレットマシーン》at 金沢市民芸術村のときのささやかなリベンジを果たせたことが嬉しかったです。当時は、四方を囲んだ幕に沿って取り付けられた透明のホースに赤い液体が上から流れてくる演出をがあったのですが、水圧や水の取り扱いの困難さを知らず、劇場の上の方でポンプが暴走してホースが外れて劇場に水をぶちまけるという大事件がありました。俳優として舞台に立っていた自分は気が気でない状態に陥りました。(*13

当時の反省と水を扱う展示などで得た知見を活かして。今回は無事に水を劇場上から流すことができました。よかったよかった。

最後に、演出部スタッフ/裏方スタッフ/制作スタッフの皆様、劇場スタッフの皆様、この公演に携わった皆様、そして、再び劇場という現場に戻してくれた細井さんと額田さんに心より感謝いたします。劇場に入ってからは大変な状況にもかかわらず、現場をピリつかせないように常に笑顔だった皆様に感謝します

ロープワーク、久しぶりに鉄管結び思い出せて嬉しかった。

あとがき(2021年6月)

滞在制作の裏側をまとめた動画を作成しました。テクニカルディレクターやりながら撮影もやってました。本記事と併せてご覧いただけたら幸いです!


www.youtube.com

クレジット

ヌトミック+細井美裕
『波のような人』
マルチチャンネルスピーカーと俳優のための演劇作品

2021年4月27、28日 愛知県芸術劇場 小ホール

作・演出・音楽:額田大志
サウンドデザイン:細井美裕

構成:ヌトミック
原案:フランツ・カフカ 『変身』

出演:長沼航 原田つむぎ 深澤しほ 岩渕貞太(音の出演)

テクニカルディレクター:イトウユウヤ
音響:山口剛(愛知県芸術劇場
音響操作:岡野将大(愛知県芸術劇場
音響システムサポート:久保二朗
録音:葛西敏彦
データ収録協力:株式会社小野測器
舞台監督:世古口善徳(愛知県芸術劇場
舞台美術:渡邊織音
美術アシスタント:内間絢美 野田夢乃
照明:川島玲子
照明アシスタント:鷹見茜里(愛知県芸術劇場
衣装:清川敦子
衣装アシスタント:菅井一輝 佐藤亜矢
ドラマトゥルク:前原拓也
宣伝美術:タカラマハヤ
演出部:森円花
制作:河野遥
劇場制作:山本麦子(愛知県芸術劇場

協力:東京デスロック 散策者 DrillBros 金井大道具NAGOYA共同企業体 ACOUSTIC FIELD studio ATLIO グループ・野原 office cassini syuz'gen 岡野宏治 田中みゆき 木村恵子 Théâtre de Belleville みんなのひろば 森下スタジオ

主催:ヌトミック・愛知県芸術劇場
企画・製作:ヌトミック
助成:公益財団法人セゾン文化財

*1:細井美裕/サウンドアーティスト https://miyuhosoi.com/ 細井さんとはご一緒させていただく機会が多く、最近では羽田空港の作品「Crowd Cloud」(スズキユウリ氏との合作)には私もテクニカル総括として参加しています。

*2:あとは、120円と非常に安価で試しやすかったことも立派な採用理由のひとつ

*3:そもそも人の動きを取得するのに5台も少ない。モーションキャプチャだと数十個のマーカーを使用するのに…

*4:ミロのヴィーナスの失われた両腕的な?

*5:どのように音声が収録されたのか。詳しくはこちら→「Behind the Scenes of ヌトミック +細井美裕 舞台「波のような人」#1」 https://youtu.be/uCA1pYeArrg

*6:演劇でも、例えば何かしら音が鳴って、それを「霊が怒ってる」と登場人物が指摘すれば、霊が怒ってることにできてしまう強み/弱みがあります

*7:…といったことを考える余地を今回の作品は与えてくれています。

*8:毎回新しいシチュエーションで仕事をさせてもらっていますので、自分自身も探り探りで行っています。世のスタッフさんからしたら「うすっぺらい」と思われるかもしれませんが、すぐに忘れてしまう自分の今後と、その周りで仕事をしてくれる人たちと共有するために恥を忍んで書き留めておきます。

*9:4月21日の日記ようにシステム開発もしていたけど、これはテクニカルディレクターとしての仕事ではない

*10:または現代美術

*11:この喫煙所のディスカッションが本当に大好き

*12:「紙吹雪を降らせたい」「せりあがりたい」「回転したい」といった江戸時代に急激に進化した歌舞伎の芝居小屋のような、一種の「物理的からくり」なことを実現するには舞台監督や舞台スタッフの知見が非常に重要です。しかし、「いま世界で起きている地震のデータを取得したい」といったようなメディアテクノロジーに関する「テック(テクノロジー)的からくり」については、テクニカルディレクターとしての知見がうまく転用できるのでは??という話。「テック的からくり」で陥りやすい罠が「自動化したい」という欲望。舞台スタッフは非常に有能なので無理に自動化しなくても、舞台スタッフの手で行ったほうが早いし簡単、確実なことがあります。そこのバランス感覚は重要。そして、自分はそのバランス感覚は持っている気がする。たぶん。

*13:幸運にも客席には水がかかることなく、お客はそういった効果だと思ってくれた。めっちゃ怒られたけど。

「オンライン舞台監督」のその後/オンラインイベントの4形式

はじめに

先日、墨田区文化振興財団さんから、「オンライン舞台監督についてお話してほしい」というありがたいご依頼を受けました。せっかくの機会なので、前回の記事をアップした2020年5月から11月現在に至るまでの活動やその周辺をまとめていこうと思います。(*1

というのも実は、「オンライン舞台監督に求められていた大きな役割は、ひと区切りついたのではないか?」と感じており、ちょっと整理しておきたいなと思っていたからです。

以前、「オンライン舞台監督という仕事」という記事で、オンライン舞台監督という仕事がどういった内容で、どのような事例があったかを書きました。

あれから時間が経ったこともあるので、今回は、これまで行われてきた様々な配信の形式を4つにまとめつつ、「オンライン舞台監督」の領域と「オンライン舞台監督の次」について考えていきたいと思います。

定義:オンライン舞台監督とは

自分のツイートを確認していくと、どうやら4月21日に初めて「オンライン舞台監督という仕事をしている」と自覚をもったようです。

 

 

ここで、(自分なりの)オンライン舞台監督の定義を再確認しておきたいと思います。以前のブログとは少し変わっているかもしれません。

オンライン舞台監督とは、
「オンラインのみで開催されるイベントの全体進行を管理する人」である

とします。


時系列の整理(1)

「オンライン舞台監督に求められていた大きな役割はひと区切りついた」と書きましたが、では、オンライン舞台監督という言葉に強い意味があった時期はいつだったのかということを考えていきたいと思います。

ここで、コロナウィルスと社会がどのように変わってきたかを、NHK 新型ウィルス時系列ニュースから抜粋し、自分が気になった事項も加えて整理していきます。

  • 1月16日 日本国内で初めての感染確認
  • 2月3日 乗客の感染が確認されたクルーズ船 横浜港に入稿
  • 2月27日 安倍首相 全国すべての小中高校に臨時休校要請の考え公表
  • 2月29日 都内の主要美術館などが一斉休館へ※
  • 3月22日 格闘技イベントがさいたまスーパーアリーナで開催※
  • 3月24日 東京五輪パラリンピック 1年程度の延期に
  • 4月7日 7都道府県に緊急事態宣言(のち16日に全国へ拡大)
  • 4月11日 感染者数1日あたり700名
  • 5月21日 政府 緊急事態宣言 39県で解除(のち25日にすべて解除)
  • 6月2日 初の「東京アラート」都民に警戒呼びかけ
  • 6月19日 都道府県またぐ移動の自粛要請 全国で緩和
  • 7月12日 プロ野球 有観客試合が再開※
  • 7月22日 「GoToトラベル」キャンペーン前倒しで始まる
  • 8月1日 入場制限規制緩和
  • 11月3日 THE YELLOW MONKEYが東京ドームにて19000名の観客を入れて音楽ライブを開催※

(※がついた項目は、筆者が加えたもの)

この年表の中でまず注目したいのは、以下の期間です。

  • 4月7日 7都道府県に緊急事態宣言(のち16日に全国へ拡大)
  • 5月21日 政府 緊急事態宣言 39県で解除(のち25日にすべて解除)

これは、いわゆる「ステイホーム期間」です。ほぼすべての経済活動が止まり、皆が家に閉じこもり、町から人がいなくなったあの期間です。

人がいなくなった町の中で、さまざまなオーロラビジョンから小池百合子都知事の注意喚起のVTRだけが流れるというすごい光景が広がっていました(*2)。

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当時の渋谷センター街。マジで人がいなかった。

 

さて、この「ステイホーム期間」は1ヶ月以上に及びました。この期間は、観客はもちろん、アーティストとスタッフも同じ空間にいることがNGだったため、今までのようにイベントを開催することは不可能でした。そこで、全員がオンラインにいて、オンラインでつながり、そしてオンラインのみでイベントが行われていくようになります。その営みから要求された仕事が「オンライン舞台監督」です。


事例

この期間、どのような形態のイベントが行われていたか。以下の図のように説明できます。

 

1:ステイホーム形式

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アーティストもスタッフも観客も各々の自宅から、インターネット上のある場所に集まる形式です。

 

ポイントとなる催事リスト

ここでは、この形式で行われたイベント/作品を紹介していきます。自分は関わっていないけれど、参照しておきたいものについては以下の4つです。

次に、自分が関わったイベント/作品です。以前のブログで紹介したので説明は割愛します。

これより以下のものは、「ステイホーム期間」後のものになりますが、アーティストとスタッフはそれぞれ別の場所にいて、観客はYouTubeなどでの鑑賞になりますので、この形式に当てはまるイベントといえるでしょう。

DIY MUSIC on Desktop

DIYで作った楽器を自宅の机の上(まさしくデスクトップ!)で演奏し、それをYoutubeにて配信する音楽イベントです。これもZOOM上で行われ、パフォーマンスや映像発表のあとでは、MCのThe BreadBoad Bandのメンバーとのトークも行われました。

 

www.youtube.com


仮想劇場短編演劇祭とめコメ試写会

8月に開催された「仮想劇場短編演劇祭」という演劇祭の企画アドバイザーを務めました。そこで発表された作品のアーカイブ映像が販売されるにあたって、この演劇祭の趣旨説明と若手演出家による3作品を映像を止めながらコメントしてく試写会を行いました。わたしは東京、劇場のスタッフは大阪でした。こちらも同じ空間に集まることなく行われたイベントとなります。(*7

(11月12日現在では、まだPart1までしか公開されていません。順次公開予定です!劇場スタッフのTさん頑張ってください!)

vimeo.com

 

時系列の整理(2)

さて、ここで年表を改めて確認しておきます。

4月7日 7都道府県に緊急事態宣言(のち16日に全国へ拡大)
4月11日 感染者数1日あたり700名
5月21日 政府 緊急事態宣言 39県で解除(のち25日にすべて解除)
6月2日 初の「東京アラート」都民に警戒呼びかけ
6月19日 都道府県またぐ移動の自粛要請 全国で緩和
7月12日 プロ野球 有観客試合が再開
7月22日 「GoToトラベル」キャンペーン前倒しで始まる
8月1日 入場制限規制緩和
11月3日 THE YELLOW MONKEYが東京ドームにて19000名の観客を入れて音楽ライブを開催

5月21日に緊急事態宣言が解除になって、国が定めるところの「新しい生活様式」での日常が始まります。様々な催事において、会場への入場制限が設けられました。それ以外にも、手指消毒やマスク着用の徹底、座席の間隔、発声の禁止などなど。そういった厳しい条件下でも、劇場や美術館は開いて、人が少しずつ集まります。

7月にはプロ野球の有観客試合が開催されるようになり、コロナの第二波が夏にやってくるのをなんとか凌くなどして、11月には東京ドームでTHE YELLOW MONKEYのおよそ2万人規模の音楽ライブが開催される(*8)(*9)までになります。

 

事例

さて、ここからは「新しい生活様式」での日常がスタートしてからの事例を紹介していきます。「テレビ」を見てきた我々からすると、すでに見たこと体験したことのある形式ばかりです。


2:無観客形式

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アーティストはスタッフを含めて同じ場所に集まりますが、鑑賞者は配信のみで作品(公演)を鑑賞する形式です。

ポイントとなる催事リスト

 

ロームシアター京都「プレイ!シアター at HOME 2020」

ロームシアター京都で毎年行われていた夏休みイベント「プレイ!シアター」を今年はオンラインで行うことになりました。トークあり、コンサートあり、ダンスあり、音楽ライブあり、何でもあり!同時多発的に行われるイベントを複数の配信で行うというボリュームたっぷりのイベントとなりました。リンク先のタイムテーブルを見てほしい、どれだけ大変で楽しかったかを!笑

rohmtheatrekyoto.jp


DAIFUKU presents DISCOVERY HACKATHON

渋谷のFabCafe Tokyoをメインスタジオにして行われたハッカソン!しかも、参加する学生約60名が全員オンライン!今まで行ってきたハッカソンイベントとは運営側も体験側も全く違ったものになりましたが、「また来年!」という言葉がスタッフから出てきたとき、これまで続けてきたイベントが、コロナのせいで途切れなくて本当によかったと思いました。

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www.discoverychannel.jp


細井美裕「Vocalise」

アーティストの細井美裕さんによるライブパフォーマンスです。
アーティストは、「無響室」という音の響きを最大限無くした部屋の中でボイスパフォーマンスを行い、その声をZOOM経由で、神奈川にある小野測器の「残響室」にて出力し、その残響室内の音をYoutubeにて配信するという形式でした。結局、一度も細井さんに会わないままだったなー。細井さんが連載されてる「Sound&Recording」内でご自身がパフォーマンスの内容とシステムについて語られています(サンレコっぽく機材とか書かれていてめっちゃタメになります)のでそちらをお読みください。

www.snrec.jp

 

篠田千明 新作オンライン・パフォーマンス公演『5×5×5本足の椅子』at YCAM

演劇作家の篠田千明さんによるオンライン・パフォーマンスです。配信パフォーマンスの形式では一番オーソドックスな「無観客方式」ではありますが、舞台はなんとラップトップのデスクトップ画面。アンナ・ハルプリンのダンススコアを軸に、様々な時空間を同時に、またはズラしながら見せることで展開するという、演劇作家ならではの配信パフォーマンスとなりました。観客は全てが終わった後、いったいいつどこで誰と「いつを」見ていたのか、奇妙な感覚を残していきました。(*16

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3. 公開放送形式 f:id:ocrock:20201114224959j:plain


公開放送とは、テレビ、ラジオ番組において観客を集めて生放送、録画、録音を行うこと。番組収録を行う場合には公開録画(テレビ)、公開録音(ラジオ)とも呼ばれ、放送業界ではそれを略して、俗に公録(こうろく)とも呼ばれる事もある。(Wikipediaより抜粋

笑点を見たことがある人には馴染み深い形式です。コロナ前から音楽ライブや舞台公演でも配信は行われていました。ただし、2020年11月現在の状況と違っているのは

  •  「客席の使用率が100%ではない」
  •  「有料配信(*17)」が増加
  •  「我々が配信を見ることに慣れた」

といった点が挙げられるでしょうか。

 

ポイントとなる催事リスト

多くの催事がこの形式で行われていますが、どうしても挙げておきたいのはこの2つです。

 

仮想劇場短編演劇祭

8月に開催された「仮想劇場短編演劇祭」という演劇祭の企画アドバイザーを務めました。「劇場にいる観客とオンラインにいる観客、それぞれに違った表現は可能か?」「(再びコロナのような疫病に地球が襲われるであろう)100年後の後輩たちに向けてリファレンスとなるような表現や実験ができるか?」をコンセプトに行われた演劇祭です。演劇祭の内容については、「仮想短編演劇祭とめコメ試写会 vol.1」という動画の中で説明しています。過去記事も併せてご覧いただけたら幸いです!

vimeo.com

 

せいこうHOUSE vol.9

せいこうHOUSE vol.8では無観客形式で、360°配信、有料配信、オペレーターが大阪から遠隔操作という内容でしたが、vol.9ではお客さんが劇場(CBGKシブゲキ!!)に戻ってきてくれました!客席数は50%までの使用となり、ライブ配信も行う催事となりました。
せいこうHOUSEでは、開場中の時間に「観客着席判定システム」を使用したコンテンツがあるのですが、間引かれた客席をどう表現するかが課題でした。
そこで考えられたのが「間引かれた客席を挟むようにリアルのお客さんが着席したら、間引かれた客席に配信を見ているオンラインのお客さんが現れる」という表現方法でした。だから何なんだと言われたらそれまでなんですが笑、どうしてもオンラインのお客さんも近くにいるよってことを意識したかったのです。

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挟まれたら出てくるので「オセロ」とも言われてました
山口県立美術館×YCAM オンライン+オフライン鑑賞イベント「見ないほうがよくみえる」

目隠しをしたひとと、作品を見るひとの2人1組のペアをつくり、作品を見るひとが作品を鑑賞しながら、目隠しをしたひとに作品のことを言葉で伝える「ブラインドトーク」というものがあります。(*19)それを、「オンライン」と「オンサイト」の参加者で行うという鑑賞ワークショップが、YCAM教育普及チームと山口県立美術館が連携して開かれました。

オンライン参加者は高解像度で撮影された作品画像を見ながらオンサイト(美術館)参加者に言葉で伝えていきます。その後、オンサイト参加者は美術館に展示されている本物を見るのですが、本物は作品保護のためショーケース内に展示されており、参加者は1m以上も離れて見ることになります。

「よく見えるけど画像」「よく見えないけど本物」…

ブラインドトークの鑑賞ワークショップでありながら、本物と複製物についての情報の肌理の違いをも体験できる非常にリッチなワークショップに仕上がりました。(*20

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4. ハイブリッド形式
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会場に観客を入れてオンラインで配信も行う形式について、よく「ハイブリッド」と言いますが、本当の意味での「ハイブリッド」はこの図の形式ではないでしょうか。

つまり、観客もオンラインとオンサイトにあり、演者もオンラインとオンサイトにある状態、とにかく現時点で出来うる全ての選択肢を採用した形式となります。

この事例は、まだそんなに多くはないかと思います。なので、ここでは自分が関わった事例だけを紹介したいと思います。

APAF Exhibition 作品発表『フレ フレ Ostrich!! Hayupang Die-Bow-Ken!』+Happy Birthual Tamago Party

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オンラインとオンサイトの境界線

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提供:東京芸術祭 APAF2020 Photo by Kazuyuki Matsumoto

APAF(Asian Performing Arts Farm)のExhibition部門で発表された作品です。こちらの作品については、APAFからレポートが出ています。そちらの記事をお読みいただけると、どれだけ大変でいろいろなものを示唆した公演になったかが分かると思います。ぜひ、ご一読ください。

medium.com

 

オンライン舞台監督の領域

コロナ禍の配信にまつわる催事の形式を

  1. 「ステイホーム形式」
  2. 「無観客形式」
  3. 「公開放送形式」
  4. 「ハイブリッド形式」

の4つにまとめてみました。これらを、オンサイトの現場があるかないかで分けて考えると以下のようになります。

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これまでに紹介した催事を体験してきて、「オンライン舞台監督の領域は、ステイホーム形式のみとするべきなんじゃないか」と感じるようになりました。

なぜか。「現場」に舞台監督は2人もいらないからです。現場スタッフの混乱を生んでしまう(*21)ためです。そして、その肩書きの重さゆえに自分の仕事(舞台監督)への意識も混乱してしまう。

実際に「公開収録方式」の現場に挑んだ際、自分の中で静かに動揺と混乱が起こっていました。それを見事に見抜いた展示記録班の丸尾さんは、その様子を写真とコメントで残しています。

 
 
 
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では、残りの3つの形式に対応可能なのはどういった役目なのか。そんなことをぼんやりモヤモヤと考えている時に、APAFスタッフの植松さんから提案してもらったのが「オンラインテクニカルディレクター」でした。

 

オンラインテクニカルディレクター

この立場では、今までのオンラインの営みと、オンサイトの現場を繋げることが仕事になります。

現在、オンサイトでやってきた一線級の人たちでも、現場にオンラインが入ってきたことで(まだ)混乱しています。(*22)実際、自分が参加した現場にいるアーティストやプロのスタッフさんたちは混乱しすぎて何度も天を仰いでいるのを何度も目にしました。「今度はリアルで会おうね」と言って催事を締めることは普通だし、「もうオンラインはコリゴリだ」と言われることも少なくありません。

この立場は、そんな人たちの不安を取り除いて、新しい営みや表現を創出してもらうための提案やサポートを行うことになります。

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簡単に表にすると以下のとおりでしょうか。

  オンライン舞台監督 オンラインテクニカルディレクター
仕事内容 催事全体の進行。配信で利用できるウェブサービスなどの提案も オンラインとオンサイトをつなげる。機材構成や演出方法も提案
領域 催事全体 あくまで催事の一部分(オンライン)
配信環境 オンラインのみで完結するので関係者各自におまかせ(オンラインからサポートする) オンサイト現場からの配信環境整備。オペレーターの手配を行うことも

 

「オンライン舞台監督」という言葉と比べて「オンライテクニカルディレクター」は、ずいぶんと平易な言葉になって溶けて消えそうですが、これでいいんです。
これからもオンラインへの発信は続いていくでしょうから、この存在は溶けて馴染んで当たり前のような存在になっていくんだと思います。

まとめ

以上、前回のブログから現在に至るまでの配信形式の整理と、オンライン舞台監督とオンラインテクニカルディレクターの仕事についてまとめました。長い!

 

「この先、オンライン舞台監督の仕事ずっとあるよ」と沢山の人に言っていただきました。でも、自分は「そんなことないよ」と思っていたのですが、この意識のズレはどこから生まれていたんでしょうか。

「仕事はこれからもあるよ」と言ってくれる人は「オンライン舞台監督」と「オンラインテクニカルディレクター」を一緒くたに捉えていて、それに対して、ぼくは無意識ながら、その2つを分けて考えていたからなんだと整理してわかりました。

そして自分が「そんなことないよ」と思っていたのは、今回のブログ記事の最初に書いた「オンライン舞台監督に求められていた大きな役割はひと区切りついた」ことをどこかで実感していたからなんだと思います。

これから、オンライン舞台監督は、ステイホーム期間の「レスキュー隊」のような任務は終え、これからは「町医者」(*23)みたいになって、中〜大規模のイベントではオンライテクニカルディレクターとして出かけていんだろうなぁ。

 

3年後ぐらいに価値がでればいいなぁ、この記事

未だコロナウイルスの感染は落ち着かないし、打ち上げをどう安全安心に行うべきかの問題は解決していません。あと、呑み会帰りの「家路につく」という行程の代替手段は何かと模索中です。

 

おわり

 

謝辞

自分にとって新しい仕事+自分の至らなさもあって、お仕事の声をかけてくれた皆さんに丁寧に自分の仕事の内容を説明できず、求められていた結果と違う仕事内容になっていたかもしれません。それにも関わらず、根気強くお付き合いしてくれ、そしていつも一緒に楽しい現場を作ってくれる皆様に本当に心から感謝します!

追伸:世界の医療従事者や、保健所のみなさま、食品店やスーパー小売業、運送業、インフラを整備してくれる人たち、あと、いろんな世界や考え方を見せてくれる全世界のアーティスト達とそれをサポートする関係者に心より感謝します!マジで!今回もマジで!

 

おまけ

 本編に組み込めなかったけどどうしても書きたかったことたち。

今回含めなかった「パブリックビューイング」。パセラは現代の教会説?

今回は、あくまでコロナ禍における配信形式をまとめたものなので、いわゆる「パブリックビューイング」形式は含めていません。実際には非公式で行われている形式でもあるのですが…。

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さまざまなパブリックビューイング形式

最近は、カラオケボックス(特にカラオケパセラ)でもインターネットが利用できるようになっているので、複数人が集まって配信を見ている事例が確認されます。これはコロナ感染予防の観点から、主催者側から薦めることはありませんので、各自自己責任で行われているものです。やっぱりみんなで一緒にみたいよね…。

 

@matsurixdd

まいやん卒コン対ありでした!ドームで見たかったけど卒コンでみんなでコールできてよかったです!!#乃木坂46 #白石麻衣卒業コンサート #ガールズルール #白石麻衣

♬ オリジナル楽曲 - まつりまつり

 

これについて色々と考えた結果、偶像が複製(=配信)され、それを数名が崇拝し、賛美歌を歌う(=コールする)場所が各地にある(カラオケボックス)…ということで、「カラオケパセラはコロナ禍における教会である」という結論(暴論)が導かれたのです笑

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配信についてひとりブレストしてる時のメモ



豊かな鑑賞体験とは

今まで演劇やライブは「生の現場で体験するのが一番」と、半分盲目的に言われてきました。10年前に配信が流行ったときも「配信が増えることでライブの唯一性の価値が強化される」(アウラ(オーラ)的な話)と言われていましたし、ぼく自身もそう思っていました。

しかし、その価値が反転することがあったのです。

私がオンライテクニカルディレクターとして参加したAPAFのパフォーマンスは東京芸術劇場で行われました。東京芸術劇場劇場公演に関するガイドラインを厳守していたため、客席の間隔は広く取られ、観客の手指消毒、マスク着用の徹底、会話や声を出す行為の禁止が徹底されました。

APAFのパフォーマンスは、観客が参加するパフォーマンスでした。ダンサーのAokidさんが、オンラインとオンサイト(劇場)両方の観客に声をかけ挨拶します。オンラインでは、皆がマイクをオンにして声をだして挨拶を返しますが、オンサイトではそれができません(せいぜい手を振るぐらい)。その後、オンラインの観客は物語の進行に合わせて絵を書いたりおやつを食べたりするなど自由に参加しました。

パフォーマンス後のアンケートでは「劇場で見ていて不自由だった」(*24)というような意見がネガティブな感情とともに散見されました。8月に行われた仮想短編演劇祭ですら、実際に劇場で見た人からの感想はもれなく「劇場で見られてよかった」というものだったので、APAFでのこの意見は衝撃でした。(*25

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これは、先日のTHE YELLOW MONKEY横浜アリーナ公演でも発生しています。ニコニコ生放送での中継されたこのライブへのコメントには「現場、声が出せなくて辛そう」といったものがいくつかありました。ライブ会場にいる相手にそんなこと、今まで思ったことなかった…!

今回の件で「豊かな鑑賞体験」というものが因数分解できるような気がしています。「現場は生が最高」という価値観のベールが少しだけめくれてる今、じっくり「体験」について考えるチャンスが来ているのかもしれません。

*1:墨田区さんから受けたインタビューは後日公開される予定です。この記事は、そこで話しきれなかった部分を追加したものになります

*2:このときの東京の街の風景の異常性は、乃木坂46の「世界中の隣人よ」というMVで垣間見ることができます。個人的には非常に貴重な資料なんじゃないかと思います。

*3:この作品については「仮想短編演劇祭」のプレゼンの中でも言ってますが、あのタイミング(2020年5月)でこれが出てきたことはすごい!最初にして頂点をいきなり叩き出した演目。リモート演劇の源流。教科書に出ます。教科書に載せてください。

*4:話題となった「ZOOM演劇」。「12人の優しい日本人」の形式を継承し、オリジナルのSF作品に昇華。大学生がコロナで4年間もリモートだったという設定は、今でもリモート授業ばかりで厳しい大学生活を示唆していたかのよう。個人的には、出演していたHKT48田島芽瑠さんが劇中にインスタのストーリーを更新したところが激アツだった。この空間越境はもっと考えていこうとおもう。

*5:Travisがフォートナイトの中でライブしてたっていうから、Youtubeで見たら完全に未来だった。ゲームの中だったら、アーティストがゴジラ並みにでかくてもいいし、観客も空を飛びながら見てもいいよね!間違いなく今より先の可能性を提示した。10年後までに絶対流行る。

*6:ご存知!東京03さんによるコント公演。コント公演の伏線のはり方もそのままに、画面共有やアナログ紙芝居的な仕掛け。同室内の複数のカメラ視点(角田さんのご家族の協力で実現)など、豊かな表現が散りばめられていてめっちゃ笑った。このころは芸人さんが本当にいろんなことに挑戦していてすごかった。芸人なめんな、お笑いなめんなってマジで思う。

*7:この演劇祭についてのブログ記事はこちら。 仮想劇場短編演劇祭に寄せて/寄り添って - Tentative

*8:このイエモンのライブは実はとんでもない意味があって、まずあれだけの大きい屋内会場に2万人弱のお客を入れ、「音楽ライブ」(ロックコンサート)を行ったということは、世界中を見てもかなり稀な例です。(Vo.の吉井さんもライブ中に「世界初かも」と言及)
2020年9月11日、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室からの事務連絡によって入場規制の緩和が始まりますが、「大声での歓声、声援等がないことを前提としうる場合」(おそらくクラシックコンサートやオペラ)と「そうでない場合」(いわゆる音楽ライブ)と区分けし、制限に差を設けました。後者にあたる「音楽ライブ」催事には未だ強い制限がかけられたままです。
それぞれ観客の営みが違うと(当たり前なんだけど)国もわかっているわけです。モッシュとかされたらかなわんと官僚は考えてたわけです(それはない)
ちなみに東京都による区分けはこのリンク先のとおりでした。わかりやすいかも。
新しい生活様式の日常がスタートしてから溜まってきたTipsを余すことなく駆使して開催されたライブは、関係者の意識とお客様の協力無しでなし得なかったライブ公演だったと思います。その知の集合がこちら。(もちろん各業種の皆様も必死に対策されています。この一覧を見よ!)
このドーム公演をひとつの試金石にしようとしていたのか、このライブの数日後、いくつかのアーティストがドーム公演を発表します。横目で見てたんだろうなぁ。

*9:そして、11月18日。公演から2週間が経過しても、来場者からコロナ感染者が出ることはありませんでした!すごい!

*10:初見はびっくりした。グラツーのグラフィックがヤバいことになってきてることは聞いていたけどここまで進化してたとは…。実写に近いゲーム映像と、各プレイヤーの家に設置したウェブカメラ(絶対カメラ位置は運営側から指示がいってるはず)のドライバー映像を使い、モータースポーツのテレビ中継の文法を完全になぞることに成功。これ、簡単そうに見えてめちゃくちゃリサーチしてないとできない。レイアウトとかまじそのまんま。見応え充分。

*11:劇場の街・下北沢もコロナ禍で劇場が軒並み閉鎖。そしてついに大本山である本多劇場から演劇作品が有料で配信された。e+の新サービスのローンチ公演でもあったはず。ここから有料公演がオーソドックスになっていた気がする。入江雅人さんの公演は鬼気迫るものがあった。小劇場なめんな、舞台役者なめんなってマジで思う(2回目)

*12:無観客でのライブ公演。客席を無くした広い空間を大きく移動しながらパフォーマンス、そしてカメラも縦横無尽に動く。従来のライブでは、会場にいる観客に配慮しながら客席やカメラ位置が決定されるが、無観客ではその制約がなくなる。故に、平面的な表現から立体的な表現と変化した。アリーナ級の会場を押さえることができ、且つ、歌って踊るパフォーマンスをするメジャーアーティスト/アイドルは当然のようにこの様式を取り入れることになる。アイドルなめんな事例。

*13:エルレがライブやるからって聞いたので見に行ったら、自然豊かな最高なロケーションでメンバーが演奏してた。自宅やライブ会場、スタジオではまだ「密」とされる状況だったので、屋外でライブをしたことにしたんだと思う。ZOOMの中に閉じ込められていたアーティストとスタッフがやっと再会した雰囲気もあってよかった。今までは恥ずかしくて言えない感謝とか飛び出したりしてた。

*14:商品プロモーションを広告代理店と制作会社がリモートでやるとこれだけの物量になるといういい例。ただリモートでじゃんけんするだけなんだけど笑。とかく、オンラインものは「手軽にできるんでしょ」と言われるんで、そういう人にはこの動画冒頭のセットアップしてるシーンを見せることにしてた

*15:クローズしてたパルコ内をアーティストが歩き回ってライブしてる回とか、ステイホーム期間中に行われた配信は全部、国会図書館が残すべき。

*16:仮想短編演劇祭でも言いましたが、ぼくは演劇作家による空間感覚の特性を信じています。今回の作品は、それを最大限に生かした作品だったと思います。実現できたのはYCAMのインターラボスタッフのサポートがあったからです。お手伝いできてよかったですー

*17:​​まだ、有料配信がメジャーでなかったころ、当時きゅうかくうしお森山未來+辻本知彦)の制作をされていた故・岡村滝尾さんからご連絡いただいて「なんとか!できないものですか!」と言われて、色々とリサーチしてJストリーム様のご協力を受けながら有料配信したのが、2017年の《素晴らしい偶然をあつめて》公演でした。滝尾さんは早かった!最初に滝尾さんと打ち合わせした喫茶店もコロナの影響で閉店しまったし、公演場所だったvacantも無くなってしまった…。滝尾さんはたぶん天国でも早い仕事してる気がする。
有料配信もいまではいろんなプラットフォームが生まれ、やりやすくなりました。いまでこそ視聴者側も慣れてきましたが、当時はアカウント作成が求められたりするだけで抵抗感を持ったものです。そんな中、YouTubeの「スーパーチャット機能」(いわゆる投げ銭機能)は金額を100円から1円単位で決められることもあって、抵抗感なく利用されました。しかし当時は、これを使用した配信を行うには、配信チャンネルの登録者数が1000人以上であることなど厳しい条件がありました。そのため、色んな人たちが「とりあえずチャンネル登録してくれ!」と(SNS上で)叫んでいました。

*18:プレイタイムについては、語りたいことたっくさんあるんだけど!会場の使い方、お客さんの入れ方そしてタイミング、スタッフさんと劇場への愛など!コロナ禍における傑作。言い出したらキリない。仮想短編演劇祭の若手演出家の人たちに「チケ代奢るから見てほしい」とまで言った気がする。ちょっと記憶が曖昧になってきてるんで感想控えますが、ひとつだけお気に入りのシーンを言わせてほしい!森山未來さんと黒木華さんが照明のブリッジで話ししている時に、黒木さんが「手でもつないでみましょうか」というセリフをいうシーン!女性が男性を誘惑するセリフでもあるんですが、ご時世的には握手をするということがコロナウィルス感染防止の観点から禁忌とされているので、その意味が重なってくるので、このセリフを聞いたときの緊張感たるや!しびれたなー!

*19:ゲーム好きな人なら「完全爆弾解除マニュアル」みたいなものだといえばわかりやすかも。

*20:内容もさることながら、YCAMが年度初めからここに至るまでに培ってきたオンラインイベントの経験が隅々に活かされていてさすがでした。オンラインイベントで気をつけなくてはいけない点を全員が把握していて、アサインするスタッフも的確。この形式のイベントはうまくやらないと、オンライン/オンサイトのどちらかの参加者に取り残されている感覚をもたせてしまいます。それを防ぐために、両サイドにファシリテータとサポーターを配置し、常にケアしていく。担当者にも言いましたが、今回のワークショップはひとつの完成形を提示したと個人的には思っています。今後、オンラインイベントを考えるときはこのワークショップでの体制をベースに考えていきたいです

*21:監督と特技監督がケンカして現場が荒れることは平成ガメラ3のドキュメンタリー庵野監督があぶり出していますね、あれに近いものです。(今見ても、スタッフのメンツがやばすぎる)

*22:こちらの記事で私が発言している通り、これからどんどん整理されていくでしょうから、これまでほど混沌とした状況ではなくなると思います。

*23:オンラインのみで実施できる手軽な「ステイホーム形式」のイベントは積極的に行われていくべきですからね。

*24:そもそも客席というのは不自由なんですけどね。たしかそんなようなことをブレヒト先生も行っていた気がする。

*25:個人的にはネガティブな感情よりも、こんなことが演劇に起こり得るんだという新しい発見と感動でした。観客の役割や立場を変えたりする実験は昔から行われてはきていたけど、それでも劇場という時空間が共有できる場所の優位性は揺るぎなかったのに!あれ、マジでポストドラマ演劇きてるじゃん、ちょっと今年は現代演劇にとって重大な課題がでまくりじゃないの?誰かまとめてよ!論文書いてよ!とか勝手に思っていますが、たぶんこの周辺事情は、大御所の人たちにとっては無関心もしくは嫌悪の対象になりそうなので若手の面白そうな人が語ればいいと思っています。レーマン先生の本を久しぶりに読もうかな。

仮想劇場短編演劇祭に寄せて/寄り添って

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はじめに

大阪にある劇場「ウイングフィールド」のスタッフである橋本さんから、「ZOOMしませんか?」というLINEが届いたのは「オンライン舞台監督という仕事について」という記事をブログに投稿してから3日後のことでした。橋本さんは、大学の後輩で作家であり演出家でありデザイナーでもあったりする非常に多才な人です。

その昔、自分がIAMASという学校を受験する際、「自己推薦文」の提出が義務付けられていたので、

「自分で自分を推薦するだけでは自分という人間を伝えきれないので、自分のことをあまりよく知らない後輩と2人きりで日本縦断し、「縦断する前に抱いていた自分の印象」と、「縦断後に獲得した自分の印象」という2種類のテキストを書いもらって、それを自己推薦文と併せて提出してしまおう」

という(他人からすれば非常にめんどくさい)企画を立ち上げ、(きっと恐る恐る)乗ってくれたのが橋本さんです。結果、無事に学校に合格することができました。在学中に担当教員から「学校に入学するために日本縦断してきた人を落とす訳にはいかないと思った」という言質が取れているので、つまり橋本さんは恩人でもあります。そんな橋本さんと久しぶりにオンラインでお話することになりました。(旧友同士によるただのオンライン呑み会)

 

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(ぼくと橋本さんにとっては)伝説の「My/Him PORTRAIT」
最終的にはムックっぽくデザインして提出したのでした

当時まだInstagramなかったけど、めっちゃInstagramっぽいな

 

近況報告なども兼ねていろいろと話していく中で、5月6日に「12人の優しい日本人」の朗読劇が行なわれたころから、オンライン上に広がり始めていた「オンライン演劇」(ZOOM演劇)の話題になりました。その日の時点で「オンライン演劇」と言われる作品をいくつか見ていましたが、「画面上で見てるときにふと、そもそも演劇ってどういう定義だっけ?と思ったんよねー」という話になって、そこから演劇の話がダラダラと始まっていったのです。

演劇ってなんだったっけ?

みんな大好きイギリスの演出家 ピーター・ブルックが書いた「なにもない空間」(晶文社)という本は、こんな有名な一節から始まります。

「ひとりの人間がこのなにもない空間を歩いて横切る、もうひとりの人間がそれを見つめる。― 演劇行為が成り立つためにはこれだけで足りるはずだ。」

なるほど。たしかにそう大学で習いましたし、今でもふっと思い出したりします。ただ、そうなってくると、今、目の前のモニターで行なわれている営み(オンラインライブでの演劇)はなんだろう?映像作品との違いを自分はどう説明できるだろうか?これを演劇行為として捉えるには、「演劇的」である何かをどこかで取りこぼしているのではないか、もしかしたら無視してしまっているのではないか?

それらを視聴している「体験」についても、コロナ以前に確実に体験していた「演劇的体験」と同じものとして語っていいんだろうか?行なわれている表現が「演劇的表現」であったとしても、そこから自分たちは「演劇的体験」を受容できていたのかな…と。ていうかそもそも自分が今言ってる「演劇的」ってのが抽象的すぎてうーん!

うまく言葉が見つかりませんが、当時(今も)モヤモヤしていたことはわかってもらえると思います。

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「なにもない空間」の書き出し。学生時代の書き込みが残ってた。

 

100年前はどうしていたんだろう

コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックはよく、およそ100年前に発生したスペイン風邪によるパンデミックと比較されます。当時、どんな演劇が行なわれていたか、コロナウイルスでこれだけの騒ぎになっているのだから何かしら記録が残っているかもしれないと調べてみたりするわけです。しかし、インターネットで検索はしてみるものの、めぼしい記事は見つかりません。

そこで、祖母の家に残っていた父親の学生時代の書籍棚から随分前に拝借したきりだった「演劇論講座 演劇史 外国編」(汐分社)という本を開いてみました。初版が1976年と大昔なので、今よりスペイン風邪に断然近しい時代の文献になります。全てを読むのは大変だったので、まずは巻末の年表を見てみます。この年表がよくできていて、演劇界に起きた事項と、重要な作品、そして政治経済の年表が一緒になっています。スペイン風邪パンデミックが発生したのが1918年ごろらしいので、そのあたりを見てみるのですが、御存知の通り、そのころは第一次世界大戦の真っ只中。大戦に関する記述は多数あるのですが、スペイン風邪のことは(とりあえず年表には)書かれていませんでした。

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「演劇論講座 演劇史 外国編」の年表。時代濃ゆすぎ。

この記事を書くにあたって再び検索してみたら以下のような記事を見つけました。

THE KYOTO「劇場は疫病にどう向き合ってきたか」 
https://the.kyoto/article/88620a22-3b7c-4728-aa34-1c98da9411eb
図版なども見たことのないものが多くて素晴らしい記事でした。当時の劇場側の対策や、演劇界を取り巻いていた厳しい状況も初めて知りました。でもまだ、スペイン風邪の頃の演劇行為がどうだったのかは今でもわからずじまいです。まさか、アクリル板とか立ててはいないだろうなぁ。

NYタイムズにも似たような記事がありました。
‘Gotham Refuses to Get Scared’: In 1918, Theaters Stayed Open
https://www.nytimes.com/2020/07/14/theater/spanish-flu-1918-new-york-theater.html
開演時間をずらしまくって混雑を避けたりする劇場の対策などがわかります。

100年後はどうしているんだろう

こんなようなことをダラダラと話していると、橋本さんから「この状況下であえてなにか挑戦できるような企画を劇場で考えてみたい」という話を切り出されます。

それを受けて、今まで話してきたことや頭に浮かんだこと、(当時の)いろいろな状況などを整理してみました。

  • コロナウィルスが終息すれば、オンラインライブで獲得した新しい表現同じ運命を辿りそうで、モチベあがりづらいよね
  • 今回のパンデミックは、100年後の未来(もっと近い将来かも)でも必ず起きると言われている
  • 100年後にまたパンデミックが来ても、さすがにその頃には今みたいな状況にまで追い詰められないでしょ→100年前のスペイン風邪のときも結局自宅に巣ごもりしていたらしいよ→じゃあ、100年後もそんな変わらんかーそうかー。
  • スペイン風邪当時の演劇作品の記録がよくわからない(演劇資料館に問い合わせてみたい)
  • 代替行為ではないオンラインライブでの演劇的行為とは何よ?
  • これからしばらくはコロナ対策として客席を100%埋めることができないので、オフライン観客(実際の劇場にいる観客)+オンライン観客に向けてのハイブリッドな表現が重要になってくる(かも)

そこから「じゃあ、もう今から100年後のパンデミックを見越して実験しておいたほうがよくない?」という話が始まりました。今、この状況下であれば、オンラインライブでの演劇行為が真っ当に批評/記録され、評価/検討されるでだろうし、劇場に観客が戻ってくるコロナ終息後は、そこまでの待遇はないだろう。ならば、今だ、今しかない。100年後の後輩たちに確実になにかを残すなら今しかない。いつやんの?今でしょ!

そんな、(大好きな後輩を前にいい気になって)好き勝手に放言した数日後、橋本さんから届いた企画書が、今回開催される「仮想劇場短編演劇祭」といったものでした。そしてぼくは、恐れ多くもその企画の「企画アドバイザー」としてお手伝いさせていただくことになったのです。

「演劇作家」という職能

さまざまなオンラインライブの表現行為が行なわれている中で検討しなくてはいけないのが、「2つの空間」と「2つの時間」がある…つまり舞台(表現者)と、モニター越しでそれを見ている観客(鑑賞者)が、確実に違う「時間」と「空間」にいるということです。

まずは「時間」について。
オンラインライブである以上は、舞台と観客の間にはタイムラグが発生します。それがたとえ数秒から数十秒だとしても、表現者からすれば、今見えてる北極星の光が400年前のものと同じぐらいの時間差です。それにそもそも、モニターで見ている表現行為がリアルタイムで行なわれている保証も実はどこにもないのです。

そして「空間」について。
舞台は唯一のものとして考えられるかもしれませんが、観客がいる客席は観客の人数だけ違います。自宅なのか、一人暮らしなのか実家なのか。部屋の明かりは点いているのか、消えているのかなどなど…。

オンラインライブで表現を作るということは、これらを前提に作るということで、非常に難しいことです。考えなくちゃいけないことが多すぎる。今までは、ひとりの人間がこのなにもない空間を歩いて横切る、それをもうひとりの人間が見つめるだけでよかったのに!眼前に、役者の身体が、そこにあるだけで良かったのに!

演出家、脚本家、役者と分けずにあえて「演劇作家」という言葉で括りますが、演劇作家はいかなる事象にも思考を巡らせる職能を持った人たちです。

表現としての物語/身体だけでなく、観客がいる客席のこと、舞台として区切られる…もしくはその境界も無くしてしまった空間、時間、他の観客の視線、聞こえてくる音、声、もしかしたら劇場の外の音や天気、テントをめくったその彼方の景色、劇場までの道、匂いに至るまで、観客の取り巻くあらゆる環境にも意識を行き届かせることができるのが、演劇作家の、紀元前から練り上げられてきた職能なのではとぼくは思っています。

ということは、演劇作家は、オンラインライブで行なわれる演劇の課題に触れ、「代替の手段」ではない表現に挑戦/思考し、観客に新しい演劇的体験を提供できる人材なのではないでしょうか?

演劇作家の職能を信じているぼくはそう思うのです。

仮想劇場短編演劇祭

この企画に集まった3つの劇団「うさぎの喘ギ」「かしこしばい」「[フキョウワ]」は、大阪を中心に活動する20代を中心とした若手劇団の皆さんです。これから自分たちの演劇表現を獲得していこうとしていた時期に、今回の事態が発生しています。しかし、そんな若手とはいえ、さきほどの職能を有する演劇作家には違いありません。作家としていかに「演劇的」なものが実現/獲得できるか。結果としての「演劇的表現」だけではなくて、そこに至るまでの「演劇的思考」が試されています。ここでの挑戦/思考は、コロナ以降の自身の演劇表現にも必ず活かされるので皆さん頑張ってください!

・・・と、偉そうに言いたくなるおじさんですが、オンラインで稽古を見学させてもらったり、定期的にみなさんとミーティングさせてもらっていると、そんな言葉をかける必要はどうもなさそうです。作家の皆さんは全力、フルテンMAXでした。

ただ、オンラインライブでの表現には技術的困難が付きまといます。自分は、作家が望む表現が実現できるように劇場スタッフの皆様と共に全力でサポートさせていただけたらと思います。

『仮想劇場短編演劇祭』は、8/22-24に先程の3劇団が連続上演、橋本さんが主宰するユニット「万博設計」は8/29-30に上演を行います。

感染防止策などいろいろな事情で、実際の劇場にお客様は入場することができませんが、客席には批評ゲストとして、高橋恵(虚空劇団)さん、笠井友仁さん(エイチエム・シアター・カンパニー)、筒井潤さん(dracom)をお招きしています。

詳細については、ウイングフィールドの公演情報ページを御覧ください。

http://wing-f.main.jp/plan.html

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私はたぶん、オンラインで観劇することになると思います。当日、どういう気持ちでモニター前に座ることになるのか、モニター前から離れるときにどういった「劇後感」を味わうことになるのか、企画参加者として楽しみにしています。

 

みなさまもお時間が許しましたら、ぜひご観劇ください。

 

- - - -

 

追記1:オンラインライブという言葉を使用しているのは、オンラインを活用してライブ(リアルタイム)で行なわれることを表現したかったためです。すこしややこしくてすみません。

 

追記2:AMERICAN THEATERというサイトにも記事がありました。
Theatre and the Last Pandemic
https://www.americantheatre.org/2020/03/24/theatre-and-the-last-pandemic/

この記事で面白かったのが
スペイン風邪が題材で流行ることはなくて、あのときの怖さはみんなすぐに忘れた。(中略)だけども、今のTheatre artists(たぶん演劇作家と訳していいとおもう)は100年前の作家のように忘れてしまうようなことはたぶんなくて、この不安定で怖い時間のことをポストコロナ時代に私達に差し出してくれるだろうね」的なことが書いてあったこと。
100年前の演劇作家、パンデミックすぐ忘れちゃってたっぽい!まぁ、大戦が同時にあったからね…

 

追記3:ある劇団の稽古場で台本を持ちながらの立ち稽古をオンラインで見学していたのですが、印刷された台本でなくて、スマホを持って本読みする風景を目にして橋本さんとLINEできゃいきゃい盛り上がってました。時代!

 

追記4:2007年に「大阪現代演劇祭 仮設劇場〈WA〉」という企画があって、オーディション受けて松田正隆さんの作品をドラマリーディングしたなぁ。今度は仮設じゃなくて仮想なんだなーと思ったりしました。

 

追記5:ウイングフィールドは、関西小劇場界にとって本当に重要な場所です。自分が20代の頃も幾度となくウイングに足を運び、ぎゅうぎゅうの客席でいろんな作品を見たし、先輩の公演を撮影するために客席をドタドタと走り回ったし、屋上の楽屋で暑くて死にそうになったこともあるし、本当に思い出深い場所です。いまもなお、実験的な劇場として機能していること、今回このような機会をいただけたこと、本当に嬉しかったです。スタッフであり後輩の橋本さんをはじめウイングフィールドのスタッフのみなさま、そして代表の福本さんに改めて御礼申し上げます。

オンライン舞台監督という仕事

はじめに

ウィズコロナになってだいぶ経ちます。

業務を委託されている美術館にももう2ヶ月ぐらい行ってません。

暇をしている毎日かというと、そうでもありません。4月のせいこうHOUSEの無観客配信をしたり、#MDLというオンラインフェスの技術お手伝いをさせもらったりなどしています。自分たちのユニットであるDrillBrosの配信もしたりしたなぁ。それ以外は、ずっと勉強と自炊をしてます。

 

そんな中、最近は「オンライン舞台監督」と勝手に名付けた新しい仕事をしています。

 

※技術的なことは書き出すととても長くなるので、あまり書きません。すみません。

※あと、(また)長文になってしまってすみません。自分でも引いてます。

1:「オンライン舞台監督」とは

現在、ZOOMなどのグループビデオチャットを活用したイベントが増えてきています。オンライン飲み会のように、自分たちの中でお話しているだけなら特に問題ありませんが、その様子をイベント化し「第三者に見せる」となると、「何を」「どう見せるか」という課題が現れ、且つそれを見せるための「段取り」というものが出現します。その段取りをオンライン上で仕切る人が「オンライン舞台監督」です。

 

2:「第三者に見せる」

今は年度初めですから、たくさんの人たちが「説明会」や「プレゼンテーション」といった形式のものを何とかオンラインで実現して「今だから伝えないといけない情報」を相手に渡そうとしています。

その他にも、様々なアーティストやクリエイターが、リアルな現場に身を持ち出すことができない現状の中で、様々な想像力を用いて「今だからできる表現」というものを考えています。

オンライン舞台監督の仕事は、出演者・表現者と観客との間に立って、双方の負担を軽減し、情報や表現を適切に受け渡すことをサポートすることになります。(と思っています)

 

3:「何を」「どう見せるか」

「何を」

これは様々ですが、ツールがグループビデオチャットである以上は、「音」と「映像」に限られます。

  • カメラの映像と音声
  • 画面共有を用いた映像・写真・資料・音声

「どう見せるか」

今度はその「音」と「映像」をどう見せるか。それはつまり「何をクローズアップ(強調)して観客に見せるべきか」という「演出」が発生します。

オンライン飲み会というものであれば、ギャラリービューでみんな平等に並列に画面表示されていても問題ありません。しかし、「何かを強調する」場合にはそうはいきません。

たとえば、ある登壇者の人のプレゼンテーションや演説を聞かせたい場合、このときは他の出演者の人たちのサムネイル画像は必要ない…ということを考えていかないといけません。さらに、今話している人の名前が補足情報として表示されている方が親切かもしれない…そういった演出が必要となってきます。

 

4:「段取り」

どう見せるかを考えていくと、当然ながら「どういった順番で見せるか」という次の段階に進みます。見せる物の順番について、つまり「物を語る順序」については、コロナ前でも今でもほぼ同じです。

ところが、舞台の台本で言う「ト書き」という部分に関しては、今までのとおりには行きません。

たとえば、出演者の出番が終わったとき、通常であれば台本には「舞台から去る」と書いておけばいいですが、今は「舞台から去る」と書かれただけでは去ることがなかなかできないのです。(この点については別項でまた少し話します)

このような問題点も含めて段取りを考えていく必要があります。

 

5:舞台の仕組みを熟知する

ぼくは元々が舞台出身なので、舞台監督という職能を持った人たちがどれだけ現場で優秀かを知っています。劇場の仕組みや、舞台装置の立て方バラし方、照明音響の知識やきっかけ、演出の意図、作品を立ち上げていく段取り、脚本の内容、制作スタッフの苦労、役者の気持ちすべてを把握しています。本当にすごい人達です。

それには遠く及ばないものの、オンライン舞台監督にも同様のことが求められます。なので、自分としても、配信に関する基本的な知識、画面素材の制作ノウハウはもちろんのこと、出演者スタッフの心配事についても把握しておく必要があります。これは実践で身につけていくしかありません。

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#MDLの技術担当をするにあたって、今までの経験とリサーチ結果をまとめた「MDL Lab. 巣ごもりライブ実験室」(現在非公開)。このスプレッドシートの様式は、グラフィックレコーダーの清水淳子さんの「【#StayHome な授業のためのツールやサービス図鑑】」にインスパイアを受けています。

 

余談ですが、10年前にUstreamが流行った頃、学生だった自分は学内のイベントなどの生配信をたくさんしていました。山口情報芸術センターYCAM]の10周年記念祭では、YCAM DOMMUNEの店番もしていたし、自分たちの配信なども数多く行ってきました。そこでの経験が今は大きく生きています。

 

6:出演者のケア

リアルな現場を配信するのであれば、たくさんの業者さんがいらっしゃいます。しかし、今はウィズコロナの真っ只中。配信スキルがあっても今まで通りいくわけではありません。

台本に書かれていたら、「舞台から去る」ことができた役者(出演者)たちが、今はそれができない。出演者たちにもそれなりのスキルが求められます。

ところが、緊急事態宣言以降、たくさんの人達がグループビデオチャットを使うようになったので基本的な操作はしていただけるようになりました。(最初は自分も含めて本当に大変だった…)

出演者の人たちは、自分たちが伝えたいことをきちんと伝えることが仕事です。なので、最低限の操作と段取りだけをお願いして、あとはスタッフでフォローすべきと考えます。

「舞台を去る」という動作を「カメラをオフ」という動作に置き換えて説明でき、それを実現できるかどうかが重要になってくるわけです。

 

フォローについて、すこし具体的な話をします。

いくらスキルを持っていても、人間なのでカメラやマイクの切り忘れは発生します。何かしらの理由でグループビデオチャットから落ちてしまって、再ログインをしてくる人もいます。

ZOOMでは「ホスト」という権限を持ったユーザーは、他ユーザーのカメラ・マイクのオンオフや入室許可を出すことができます。オンライン舞台監督はその権限を持って、出演者のケアと現場の調整を行っていきます。

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先日の「YCAM未来の山口の運動会オンライン」の現場(自宅)

7:スタッフとの連携

今まで自分がオンライン舞台監督を担当したイベントには、たくさんのスタッフの方たちに助けられました。

  • スイッチャー
  • 配信
  • 音響・DJ
  • 照明
  • 制作進行
  • SNS対応
  • デザイナー
  • 配信見守り
  • 司会
  • などなど…

オフライン(リアル)な現場では「インカム」といわれるトランシーバーのような「スタッフ間通話機器」を利用して、スタッフ間の連携を取ります。

オンラインでは、舞台となる「グループビデオチャット」とは別に、もう1系統グループチャットを用意して、スタッフ間で連携を取ります。オンライン舞台監督は、現場の様子と配信先の状況を見ながらスタッフに指示を出していきます。

 

8:稽古

これは、オフラインでもオンラインでも同じことです。特にスタッフは、いくつかの役目を兼任することが多いので本番は絶対にテンパります。様々なシチュエーションを考えて練習することをお勧めしています。

出演者の方たちにも練習をお願いしています。先日行われた大学の説明会では、本番30分前に集合していただき、段取りと操作方法のレクチャーを行いました。このときにファシリテーターを勤めていたのが、アーティストの山城大督さんでした。非常にスムーズで明瞭でわかりやすく素晴らしかったです。結果、大きなトラブルなく説明会を終えることができました。

 

9:安心感を与える

役者として舞台装置の裏で待機してる時に冷静に扉をあける準備をしていた舞台監督さんに「いってこい」と言われて心強い想いをしたり、現場のスケジュールが遅れても「いけるいける」といいながら頭の中でスケジュールを組み直してくれていたり、「舞台を掃除せい。舞台の神様に見放されるぞ」と言ってくれたり…。舞台監督はすべての段取りを組み立てて出演者ならびにスタッフの人たちに「安心感」を与え、最大のパフォーマンスを引き出してくれる人だと思っています。

自分はそもそも舞台監督を専門にやってないし、自分にその職能はないと思いますが、舞台監督っぽい「オンライン舞台監督」をやってる以上はできる限りそうであろうと思います。

 

10:「オンライン舞台監督」を創造してくれた現場と人たち

あたかも自分が作り上げた仕事のように書いてますが、もちろんそんなわけはありません。様々な現場があって、そこで一緒にお仕事をした人たちが創り上げてくれたポジションに運良く自分がハマっただけです。ということで、この記事を書くに至った貴重な現場を紹介させてください。

 

山口情報芸術センターYCAM]「YCAMスポーツハッカソン2020」「第5回 未来の山口の運動会」

毎年、YCAMで行われる「スポーツハッカソン」と「未来の山口の運動会」。数年前から現場監督としてお仕事をさせていただいているのですが、今年はやむなく中止…としないのがYCAMのすごいところ。オンラインでスポーツ競技作って、オンラインで運動会するという発想の転換。テーマが「でも、みんなでやる!全種目が世界初実施の超・最先端の運動会!」泣ける。

YCAMと運動会協会のスタッフが1ヶ月も試行錯誤を重ねながら準備をしていました。開催の2週間前に自分もそこに加わって、ブレストする日々。

「miro」という仮想ホワイトボードサービスを利用するとのことで、ぼくはそのサービス上で会場を作ったりとか、本番の進行に合わせてその場に競技用のオブジェクトを作るとか、まさしくオンラインでしかできない仕事ができました。ここでみんなと共有した知見は今めちゃくちゃ役に立っています。みなさまありがとう…。さすがYCAMやで…。

そのうち、YCAMが記録映像を公開してくれると思いますが、ここでは実際のグラウンドのキャプチャと取り上げられたニュース記事の動画リンクを貼っておきます。

 

※追記:運動会に参加されていたDPZよざさんが記事をアップしていただいたので、そちらのリンクを追加させていただきます!

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2020YCAMオンライン運動会会場

 

dailyportalz.jp

www.ycam.jp

 

【ウルトラプロジェクト2020】オンライン説明会

「未来の運動会」とほぼ同じタイミングで、山城大督さんに声をかけていただいて、オンライン説明会の配信アドバイザーとして運営グループに入りました。まずは配信に関する知見を共有するところからスタート。スタッフの方たちが一生懸命準備してくれたおかげで大きなトラブルがなく終えることができました。本番当日のぼくは、舞台監督として自宅から全体の現場調整と配信チェックなどを行っていました。スタッフの皆様おつかれさまでした。そして山城さん、さすがの仕切りとコーディネート力。

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※記事投稿後に運営スタッフさまから写真を提供いただきました。ありがとうございます!

ultrafactory.jp

 

せいこうHOUSE #8 

通常はトークイベントとして開催されますが、今回はコロナの影響で無観客配信イベントになりました。「出演者だけではなくスタッフもリモートワークしながらイベント開催」を裏テーマに、600km離れた大阪のスタッフがリモートで東京の機材を操作してスイッチングしたり、360度での配信も同時で行うなどかなり破天荒な仕様に。

かつ、前売チケットを販売しての配信(協力:ZAIKO)を行い、配信でのマネタイズについても挑戦しました。

舞台監督をはじめ、配信チェックや映像オペ音響チェックなど多くの業務を一人でこなすことになり、「これは、今までとは違う舞台監督という役職が必要だぞ」と身にしみた現場となりました(大反省)。

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seikohouse.drillbros.com

 

DrillBros Open.mtg #20

グループビデオチャットでのコンテンツづくりが予想されたので、自分たちでも挑戦しておこうと、(8年前までは定期的に行っていた)オンラインミーティングを行いました。出演者は基本的にZOOMの使用のみ。あとは配信側だけですべてをコントロールしていました。実際の配信日までに何度もリハーサルを行ったので、現場の仕切りやスイッチングなど本番の段取りもスムーズに進みましたが、自分自身が出演者であるため、出演者としては頭が回っておらずダラダラと喋ってしまいました(大反省)。

実際に放送したYoutubeのリンクと、関係者に配布したPDFのリンクを貼っておきます。

www.youtube.com

www.drillbros.com

www.drillbros.com

さいごに

先日行われたウルトラファクトリーのオンライン説明会では、名だたるアーティストの先生たちが自分たちのプロジェクトを紹介されていました。

すべての先生方が「アフターコロナ以降のことを、ウィズコロナな状況下で考え想像し、そして生きていく」ということを新入生に伝えていたように思います。慣れないオンラインでの説明会だったにも関わらず、その状況に果敢に挑戦して、強いメッセージを伝えるアーティストの姿に胸が熱くなりました。

YCAMでの運動会には「でも、みんなでやる」というテーマがありました。「でも、やる」。厳しい状況にも関わらず、ポジティブな気持ちを与えてくれる「でも、」でした。

 

そういった現場で「それでも、自分たちは創造的に生きていける。生きてみせる。負けないぞ、人間なめんな!」という思いでオンライン舞台監督をやってきました。

アフターコロナが来たとき、この仕事はたぶん消えていく運命でしょうが、それ「でも」自分はまた何かをしていくと思います。

  

アフターコロナが来たら、居酒屋でみんなと打ち上げするんだ!

 

 

追伸:世界の医療従事者や、保健所のみなさま、食品店やスーパー小売業、運送業、インフラを整備してくれる人たち、あと、いろんな世界や考え方を見せてくれる全世界のアーティスト達とそれをサポートする関係者に心より感謝します!マジで!

 

海外のアパートで短期滞在をすることになったときの持ち物と心得

はじめに

帰りの飛行機の中でなんだか目が冴えてしまったので、暇つぶしに書いています。(後日談:このあと、陸の孤島と成り果てた成田空港に20時間滞在することになる。2019年9月9日)

去年ぐらいから海外で10日間〜半月ほど滞在して仕事をすることがあります。それだけの滞在になってくると問題になってくるのが「食事」です。観光であれば、短期間の非日常を味わいに来てるわけですから、ホテルに泊まっていつもと違う料理を楽しめたらいいんです。ですが、半月程度の滞在になると非日常な食事に身体が追いついていかず、胃が疲れてしまうことがあります。数ヶ月の留学や滞在、移住であればそれを乗り越えて身体をチューニングしていかなくてはいけません。ですが、仕事で来ているときは食事で疲れてる場合じゃない。やはり、ご飯を食べて元気になりたい。

最近ではAirBnBも珍しくなく、1週間以上の滞在になると、国内でもアパートを借りて宿泊することも多くなってきました。アパートですから、キッチンがついていることが多い。つまり自炊することができます。

ということで、(キッチンがついたアパートに)「海外のアパートで短期滞在をすることになったときの持ち物と心得」を個人的にまとめていき、そして時々アップデートしていこうと思います。

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心得

  • 忘れたら現地で買えばいいやと割り切る

  • アパートに置いてある(置いていかれた)調味料の在庫を調べる

  • アパートに置いてある調理器具を調べる
  • ゴミの捨て方を必ず聞いておくこと
  • パスタとトマトソースは今のところどこでも手に入っているので、普段から自炊のメニューに入れておくとメニューに困らない。
  • オリーブオイルで焼いておけば基本全部うまい。と信じ込んで、海外の食材に果敢に挑戦してほしい。
  • 米は手に入る(日本米は難しいけど)。米は鍋で炊けます。

  • (番外編)アパート近くの、アジアンフードレストランを見つける。チャイニーズでもいいけど、一番オススメははフォー。 f:id:ocrock:20190917000743j:plain

自炊編

食材[持っていくもの]

細粒だし

  • 自分が思っているより、ダシに自分は支配されている
  • タマゴ粥とか作れるし、和風パスタも作れるし、お湯に煎じて飲むだけでも安心感がちがう。

醤油

  • 自分が思っているより、醤油をかければなんとかなる

ゆかり

  • これほど手軽で持ち運び可能な食料はない。アジアなどの脂っこい米系料理も魔法がかかったように。
  • 米を炊けばしそおにぎりができて素敵。

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フリーズドライの味噌汁

  • 最先端かつ最強の携帯食料。
  • 味噌を持っていってもいいとは思うけど、自分は持っていったことないです。

コーヒー

  • 海外でも買えるが、持っていても損ではない

胡椒

  • 大量に使うわけではないので持っていったほうがいい

カレーのルー

  • 海外で日本のカレーを食べたときの感動をみんなに味わってほしい

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[番外編]ぬか床

  • オーストラリアのアパートに行ったとき、同じ部屋だった方がぬか床を日本から持参して漬物をインストールしてた
  • これはかなりの上級者テク。イミグレーションで説明を求められても答えられる自信がない

食材[現地で買うもの]

  • 大量に使うから
  • 余ったら置いておけ

バター

  • ヨーロッパ圏はさすがにバターがうまいが、安いのはやはりそれなりなので、いいのを買おう。パンに塗ったりもできるし、もちろん白身魚を焼く時にも使える。

白ワイン

  • 飲んだり、調理酒にできたりと便利

その他

  • 生鮮食品
  • にんにく

調理器具・食器など

小さなナイフ(ペティナイフとかでいいと思う)

  • アパートにたいてい置いてあるが、もれなく切れ味が最悪なのでもっておいてよい。必ず預け荷物に入れること!

マルチツール

  • アパートにあることもあるが、もし栓抜きが無かったら、ワインだけがキッチンに静かに鎮座する羽目に。
  • アジアではライターやコインで瓶ビールを開けたりする人が多いです。自信がない人は持って行こう。

割り箸

  • 海外でもカップ麺は売っている。そして、フォークが付いてくる。付いてくるから安心と思ってはいけない。海外のカップ麺に付いてくるフォークはおそろしく脆い。
  • 海外でカップ麺を満喫するためだけに割り箸を持っていってもいい。

折りたたみができるお椀

  • 味噌汁飲むときはお椀でありたい人向け

生活編

ホテル慣れで忘れがちなもの

ボディーソープもしくは石鹸

  • 海外でも売ってるけど膨大な量になるので小分けのものをもっていくといい。
  • 海外のは刺激が強い可能性がある。

爪切り、歯ブラシ

  • ホテルに慣れてると忘れがちな盲点ツール。スーツケースにいつも放り込んである。

部屋着

  • 意外と持っていくのを忘れる

タオル

  • 手ぬぐいでもいいけど自分はやはりタオル
  • スポーツタオルがいいとおもう

生活用品など

洗濯洗剤(旅行用の小分けパック)

  • もちろん洗剤は海外でも売っているが、量が膨大なので買って持っていたほうがいい。
  • アジアは洗濯屋があるところが多いのでそこにお願いしよう(強烈な香りの柔軟剤でほっこり仕上がってくる)

スーパーのゴミ袋

  • 荷物の仕分けもゴミの仕分けもできるし便利

ジップロック袋

  • ダブルチャックのじゃないとダメ(反省)
  • 小物の小分けに便利。
  • 自分は出国したときに、財布の中身をすべてジップロックに入れて保管し、財布を国外仕様にします。
  • あとレシートの小分けとか。
  • 紅茶のティーバッグを入れたり香水などを小分けしたり
  • ダブルチャックのじゃないとやっぱりダメ(反省)

養生テープ

  • 梱包だったりメモを貼ったりと便利。(自分だけかも)
  • これでスーツケース直したこともある
  • 物干し竿を固定したこともある

サンダル(ビーチサンダル)

  • アパートの中で履く
  • シャワーのときとかあると便利だったりする
  • 断然 島ぞうり派

エコバック

手ぬぐい

  • タオルとは別に一枚入れておくと意外と活躍する。

バイスなど

SIMフリーの携帯

  • モバイルwifiもっていてもいいけど、一個でも荷物を減らしたいなら、こっちのほうがいい。テザリング弾かれたことない。
  • 国に寄ってはいつものアプリが使用できないこともあるので、VPNアプリをいれていったほうがいいかも。
  • Google翻訳で言語データをダウンロードしておけば、言葉に不安でも安心。
  • SIMを入れ替えるためのピンを一緒にもっていくこと

海外プラグ変換

  • これがないと死ぬ

小説

  • 新書とかだと、自分がいる状況とマッチしなくていまいちハマらないことある(個人的な感想)
  • 成田空港で缶詰だったとき、新書持ってたから読もうとしたが「それどころじゃねえ!」となった。全然気晴らしにならない。
  • フィクションが大事なことってあります

検討中

  • 細くて強いヒモ(巻)
  • S字フック

以上です。 気がついたり、経験値増えたらまたアップデートしていきます!