Tentative

おもしろいとおもったことをもう一回かんがえるせいりするまとめる

今後役に立たないホテル隔離マニュアル

はじめに

2021年に入ってもコロナは落ち着かず、なかなか海外に行くことが難しい状況が続きました。2021年11月中旬、以前と同じもしくは条件付きで入国できるように緩和されはじめました。しかし、まだまだ特別なビザが必要な国もあります。たとえ入国が簡単でも、入国後に行動規制や帰国後に隔離されることがあるといった、そんな状況です。

そのような2021年でしたが、私は仕事で3度も海外へ行く機会をいただきました*1。2月末に中国、8月末と11月上旬に台湾でした。11月はだいぶ落ち着いていましたが、2月はまだワクチン接種した人はまだまだ少ない時期で第3波がピークアウトしたころ、8月はワクチン接種は徐々に進んでいたものの、東京オリンピック中に猛威を奮った変異株による第5波の真っ只中でした。

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https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/entire/

過去3回とも入国直後から始まる「ホテルでの検疫隔離」という2週間(ときには3週間!)を過ごすことになりました。この隔離は、自分が「ガチ隔離」と呼んでるもので、ホテルの部屋から1歩もでることを許されないという厳しい隔離です。おそらく今後はワクチンパスポートの活用や、ワクチンや薬の普及などでこのような措置が取られることは少なくなっていくことでしょう*2

以上の状況から、今後は役に立たないとは思いますが、万が一また海外でホテル隔離があった場合、これまでの知見を役に立てていきたいので、マニュアルっぽくまとめてみました。あくまで自分用の記事なので、これからホテル隔離の可能性がある方ない方、ご興味のある方は参考程度にお読みください。

 

今後、ホテル隔離を予定されている方へ

ご苦労さまです!もし少しでも参考になれば幸いです。もちろんご承知かとは思いますが、まとめている内容は渡航先によって大きく変わります。もし、事前にホテル隔離があるとわかったら、渡航先のエージェントや大使館/領事館に必ず確認してください。

 

まずは、「7つの心得」

ようこそ、14日間の隔離生活へ!
今から14日間、ホテルでの隔離生活が始まります。楽しみですか?それとも不安ですか?まずは、(少しでも負担を軽くして)楽しく隔離生活を過ごすために「7つの心得」を提案します。

  1. 自分はE.T.である
  2. ホテルに泊まるのではなく、生活をするという気持ち
  3. 理想高き完璧な14日間を過ごそうとしない
  4. 14日間の前のこと、そして14日間の後のことも忘れないこと
  5. 今みんな楽しそうに人生進めてるなぁとか考えない
  6. 健康でいること
  7. 休日(もしくは作業日)を作ること

 

1. 自分はE.T.である

渡航先の空港に到着してから自分に接してくる人は、もれなく防護服を着用しています。

「事前のPCR検査では陰性だったし、空港の検査でも陰性だったじゃないか…。なぜみんな防護服を来ているんだ、なんで14日間も隔離されなくちゃいけないんだ…」

といったように、自分への対応にいろいろと思うこともあるでしょう。ここは、「自分はE.T.である」と思ってすべてを受け入れましょう。まだ英語が通じるだけETよりマシだとすら思えてきます。地球人は我々を恐れています。E.T.だから。地球人が考える対応に従いましょう。


www.youtube.com

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E.T.の荷物を運んでくれる地球人のみなさん

2. ホテルに泊まるのではなく、生活をするという気持ち

隔離する場所が「ホテル」なので、宿泊サービスを受けるという気持ちになりますが、違います。「14日間、部屋の中に隔離するのに適した施設」だからホテルなだけで、「快適な宿泊サービスを提供したい」からではありません。シーツの交換や、洗濯、食器洗い、トイレやバスの掃除などすべて自分で行うことになります。ホテルから提供されるサービスは「配膳」と「ゴミの回収」のみと思っておきましょう。

 

3. 理想高き完璧な14日間を過ごそうとしない

14日間の隔離ときいて、不安になりながらも少しだけ楽しみな自分を発見するでしょう。大人になると、健康な状態で14日間も何もしないでいい時間、もしくは何をしててもいい時間を与えられることは(少なくとも日本では)滅多にありません。そのため、この14日間が夢のように感じられます。「Netflixであのドラマを全部見るぞ」「これを機に◯◯を勉強しよう、研究しよう」「禁煙しよう」といろいろ希望をもって隔離に入ります*3

大変結構なことですが、これらをすべてこなそうとしなくても良いです。隔離期間中に成果を出そうとしないでください。その目標が達成できずに凹まなくてもいいです*4。まずはこの14日間を終えることが大事です。隔離する部屋は「時と精神の部屋」ではありません。ただの部屋です。

 

4. 14日間の前のこと、そして14日間の後のことも忘れないこと

14日間の隔離生活は、隔離前のことを忘れさせます。毎朝、自宅でしていたルーティンなども忘れてしまいます。そして、ホテルの窓が開けられないと暑かったのか寒かったかも忘れます。忘れたくないことは紙に書いて家においておきましょう。

14日間の隔離生活は、隔離後のことも忘れさせます*5。隔離生活が日常となるからです。忘れないでください、14日間を終えた後は、隔離前の日常が戻ってくることを。特に、仕事で隔離生活を送ってる場合は、隔離後にいきなりトップギアの生活が始まります。アイドリングなんてありません。隔離明けの3日前から心の準備を始めましょう

 

5. 今みんな楽しそうに人生進めてるなぁとか考えない

SNSソーシャル・ネットワークサービスです。隔離中は、ソーシャルから離されてる身なので、SNSは刺激が強いものになります。SNSを見て、周囲の人間が仕事や趣味などを謳歌しています。「いま、自分の人生止まってるなぁ」とか考えないようにしましょう。隔離をしていることに罪悪感を覚えることもあるでしょう。それは正常な反応ですので、気にしないようにしましょう。じきに収まります。あなたはなにも悪くありません。

 

6. 健康でいること

「2週間、部屋にいるだけなのだから健康に決まってる」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。体調を崩すチャンスはいくらでもあります。適度に身体を動かさないと、体力が低下します。適度に身体を動かしましょう*6。普段、自ら身体を動かすことをしてない人は、身体を動かすための何かを用意しましょう。どうか、健康でいてください。

 

7. 休日(もしくは作業日)を作ること

14日間がすべて休日のように思えることもあれば、14日間がすべて作業ができる日のように思えることもあります。そのどちらも続けると疲れてしまいます。14日間をテンポ良く過ごすために、休日(もしくは作業日)を設定しましょう。

 

持ち物

○「ホテルでキャンプ」を基準に

基本的なものは、以前のブログ記事「海外のアパートで短期滞在をすることになったときの持ち物と心得」で書いたものになりますので、そちらを参考にしてください。

ocrock.hatenablog.jp


ただし、「キッチンがない」「買い物に行けない」といった点を考慮する必要があります。ここではホテルで隔離するにあたって、追加したものをご紹介しましょう。

 

体温計

渡航先によっては毎日体温を報告する必要があります。体温計が支給されることもありますが、支給されたものが昔懐かしの水銀の体温計で、計測に時間がかかったりして不便な思いをすることがあります。あらかじめ体温計を用意しておくと良いでしょう。

 

旅行用洗濯グッズ

隔離先では自分で洗濯する必要があります。旅行用の洗濯グッズを持っていきましょう。

www.muji.com

 

ロープ、S字フック

洗濯したものを干す必要がありますが、干すところがありません。日本のビジネスホテルのユニットバスには、「洗濯ロープ」なるものがあったりしますが、海外のホテルにはありません。じゃあ、どうするか。そこで、S字フックとロープをとりつけて、自分で物干しスペースを作り上げばよいのです!ハンガーは室内にあるので、持ち込む必要はないでしょう。

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左のような物干しスタンドを用意してくれるホテルもある。ない場合は、右の写真のようにS字フックやロープを駆使して物干しスペースを作り出す必要がある

 

入浴剤

湯船があった場合、バスタイムが心からリラックスできる時間となります。その時間を豊かにしましょう。交代浴という入浴方法があります。隔離前にこの方法を習得しておくと良いでしょう。

news.mynavi.jp

 

文房具

旅行のときに意外ともっていかない文房具。14日間を過ごすとなると、意外と使いたくなってくる文房具。自分の場合は「付箋」と「メモ帳」でした。ある程度、持参すると良いでしょう。基準は、小学校のお道具箱。

 

運動するもの、もしくは運動を誘発するもの

軽い運動をすると、意外とリフレッシュできます。
普段から、自宅で筋トレなどを行っていない人は、何かしら運動を誘発するものを持っていきましょう。自分は(隔離生活のためだけに)Nintendo Switchのフィットリングを買って持参しました。

YouTube見ながら、ラジオ体操するのでもいいでしょう。

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Nintendo Switchにはキャリングケースがあるので運びやすい

 

サプリメント

部屋に閉じこもっているので、日光を極端に浴びなくなります。ビタミンDのサプリをもっていったりするといいでしょう。健康のためというよりは、気休めです。

 

パソコン、iPadなど

言わずもがなです。ただし、ここで重要なのは中国に行く場合は、VPNが使えるPocket WiFiなどを持ち込んでください。中国のグレートファイアーウォールは強大です。YouTubeGoogleも使えません。息苦しくて死にそうになります。

国内での自宅隔離の際に、VRゴーグルを試したこともあります。YouTubeで海外の名所を360度で見回せるコンテンツだったのですが、遠くにある山々をみる体験が嬉しかったです。部屋にいると「遠くを見る」という動作がないので。

 

HDMIケーブル

ホテルにあるテレビにHDMI接続すれば、パソコンやiPhoneの画面を大きく見れます。これは国内出張でも意外と便利です。スーツケースにHDMI一本。

 

電源タップ

14日間を過ごすためにいろいろと小型電気製品を持ち込むと、室内の電源口だけでは足りなくなることがあります。そんなときは、電源タップがあると便利です。ここで大事なのは、電源タップにも使用可能電圧があります*7ワールドワイドに使用できる電源タップがあるのでそちらを準備しましょう。スーツケースに電源タップー本。

 

トラベルクッカー

食事は配膳されます。美味しいものものあれば、そうでもないものもあります。そして、ホテルから出される食事に飽きがでてきたりします。そのときにために、トラベルクッカーという電気調理器を持ち込みましょう(使用電圧要確認)。もちろん、日本の優れたレトルト/インスタント食品も忘れずに。調味料も!

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食器

トラベルクッカーを持っていく場合は、食器が必要です。それ以外にも、ホテルによっては防疫の観点からなのか、コップが紙コップだったりするので、マグカップも持っていくと良いでしょう。カトラリーも持参することをオススメします。

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食器用洗剤など

以上までしっかり準備したにもかかわらず、食器用洗剤を忘れました。ホテル側が用意してくれていたりしますが、中性洗剤を小分けしたものとスポンジを持っていくと良いでしょう。

 

できることとできないこと

ここでは、ホテル隔離でできたことと、できなかったことを記しておきます。以下に記すものはあくまで一例です。繰り返しますが、必ず滞在先のホテルやエージェントに確認してください。

 

○できること

Uberなどのデリバリーのオーダー

毎回提供される食事ではなく、自分が食べたいものがあった場合、デリバリーをすることを許されていました。ただし、ホテルによっては、それが許される時間帯があったり、部屋に運ぶまでに手数料を要求されたりします。

それ以外にも自分がほしい生活用品のオーダーに答えてくれることがあります。

 

外部からの荷物受け取り

外部から荷物を受け取ること、つまりエージェントや家族・友人などから差し入れが可能です。

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仕事仲間の娘ちゃんがデコレートしてくれた果物が届いて嬉しかった

 

×できないこと

外出

もちろんですが、部屋からでることはできません

 

外部への荷物発送

防疫の観点からか、自室から外部へ荷物を送ることはできません

 

喫煙/飲酒

喫煙は原則禁止です。
飲酒に関しては、ホテルのオーダー表にアルコールがないことがありますが、友人などからの差し入れで部屋に持ち込むことはできます。酔って暴れることを恐れているのかも。

 

シーツの交換

シーツは部屋から隔離期間が終わるまで外に出すことはできません。新しいシーツはオーダーすれば運んできてくれます。

 

ある男の隔離生活サンプル

ここでは、どういった14日間を過ごしていくことになるのかご紹介していきましょう。きっとなにか参考になるはずです。

 

出国前

まずビザの申請で四苦八苦します。コロナに関する状況は日々変わっており、ビザ申請に必要な書類がいきなり減ったり増えたりするなどして、非常に疲れます。

そして、出国72時間前にPCR検査を受けることを義務付けられています。入国する国によって、PCR検査や陰性証明書の内容が変わりますので、かならず外務省と大使館のウェブサイトで確認してください。渡航用のPCR検査を扱っているクリニックにいくと間違いありません。

ビザの申請で奔走してやっとPCR検査にたどり着くわけですが、もちろん検査の結果が「陽性」となることもあるわけです。そして、フライトも急に便がキャンセルになったりします。飛行機が飛び立つまで、本当に安心できません。

無事に出国審査を終えて、搭乗口へ行くと国内線とは違った雰囲気です。国際便の本数が減少しているため、大部分のお店がクローズしています。人もまばらです。

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国際便フロアはかつての華やかな雰囲気はなく、ひっそりしています

入国日(0日目)*8

空港からホテルまで

空港に到着してから隔離場所となるホテルに着くまで、いろいろなアトラクションが待っています。国によって色々と違うと思いますが、以下は一例です。

  • 渡航先で使用できる電話番号の有無
    • 毎日健康状態と現在地を報告するために、現地で使用できるGPS機能付きの携帯電話を所持することを義務付けられることがある。
    • たいていは、現地のSIMカードスマホに差し替えればOK
  • ウェブ問診票のQRコードの提示
  • 自室で行うPCR検査キットの配布
  • PCR検査のための唾液採取
  • など
  • あとは、普通の入国審査(通常より書類が増えてる)

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左)国内で使用できるSIMを購入 右)電子資料の提出やPCR検査を受けるなど

以上のアトラクションをおよそ1時間半ほどかけて制覇すると、ベッタベタに消毒されたスーツケースを持ち出して、次は検疫タクシーを捕まえてホテルまで移動します。あるときは、プールの消毒の匂いが充満したバスに乗りました。

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左)消毒された荷物
右)防疫バスでホテルへ向かう。車内はプールの消毒のニオイで充満してる

ホテルでの入口は一般の宿泊客とは区別されていて専用のエレベーターで自室のあるフロアに移動します。(ホテル全体が隔離ホテルの場合は、堂々と正面入口から)

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上段)ホテル全体が防疫ホテルだったので普通にフロントでチェックイン
下段)隔離者は地下駐車場の通用口でリモートでチェックインするパターンも
14日間過ごす部屋

ホテルによっては、床もエレベーターもビニールで保護されており、その上をスーツケースを転がすのが大変なときもありました。

自室の前には、椅子もしくは台が置かれています。これは、運ばれてくる食事などが置かれる台です。食事が運ばれてくるとまずはこの台に置かれ、ノックをされます。そしてのぞき窓から人がいなくなったのを確認してから、扉を開けて食事を回収することになります。

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左)床まで養生されたホテル
右)部屋のドア前に台が置かれて、ここに食事が置かれていく

まずは、14日間過ごすための部屋をリサーチします。窓は開くのか*9、湯船はあるのか、ポットの在り処、コンセントの場所、タオルの数、エアコンの調子、作業スペースなど*10

そして、ホテルごとプランごとによって変わる食事ルールを確認です。基本的にこの食事が今後の生活のテンポとクオリティを握っています。ホテルによっては、前日の16時までにオーダーしないと翌日のご飯が届かないという厳しいルールがあったりします。

 

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3回の滞在のうち、1つのホテルだけはウェブから食事をオーダーするというシステムでした。食べるものを選べる自由がありがたかった…。

まぁ、いろいろとあるのですが、初日はとにかく入国できたことを喜びましょう。ビザの確保や陰性証明書を取りに行くなど、今まで海外に行くときにはなかった綱渡りの状態を終えたことをまず安心します。特に今年自分が滞在した中国と台湾は、ビザの発行が難しく、日々状況が変わっていたので、毎日気をもんでおり、発行スケジュールが変わるたびに日本でのスケジュールも大きく変わり…など気づかれがとてつもなかったです。(関係者の皆様、本当にありがとうございます)。なので、初日はいろんな人とモノに感謝しながら寝ます。なにもしなくていいです。乾杯!

 

1日目(隔離生活初日)

朝。ノックの音で目覚めます。初めての朝食です。ここで、このホテルの食事に対する傾向を掴みます。コーヒーを飲みながら、本当にここから14日間も出られないんだ…という事実をゆっくりと受け止めます。そして、ノロノロと自室を作り始めます。

部屋を作っていると、健康状態を報告するようにとSMSが届くので、体温を測って報告しましょう。

昼食。この昼食を取り終えて、ついにこの部屋に24時間滞在したことになります。ここから本格的に始動してもいいでしょう。

 

2日〜3日目

少しずつ隔離生活にもなれ始めます。テンポよく1日を過ごせるようになって、「隔離生活、いいなぁ」と思うときもあるでしょう。仕事や勉強なんかをバリバリやっちゃったりします。

 

4日〜5日目

部屋から出られないので本当に海外に来ているかどうか不思議な気持ちが湧いてきますが、間違いなく海外にいます。そして、「部屋にいるだけという生活」に慣れてきたゆえの違和感に気づき始めます。(第一次ウンザリ期初期症状)

 

6日〜7日目

6日はオフの日にしましょう!

ここまで、まるでホテルに缶詰の文豪のような環境で隔離前の色んな仕事や、前からやりたかったことをぶっつけてやってきて息切れとともにウンザリしてきたでしょう。第一次ウンザリ期です。6、7日目は精神的に疲れてきます。一日休日としましょう。逆に、ここまでなにもしてこなかった人も、この毎日に疑問を持ち始めているはずです。今度は休まずになにかをやってみることを探してみてもいいかもしれません。ひとつの節目を迎えています。

 

8日〜11日目

ホテルによってはここで食事の献立が一周します。「お、これ先週も食べたな」という気付きがあったりして少しだけ嬉しくなったりします*11

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食事コレクション。旧正月のときには、たくさんの餃子が届いたことも。

そして、「第一次ウンザリ期」を抜けると、「このまま一生ここで過ごすのかなぁ」と思い始めます。もちろんそんなことはないし、自分自身もそんなことはわかってはいるのですが、そこそこの実感をもってこれを思えるようになります。

 

 
 
 
 
 
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タイムラプス動画でも撮ってみたりとかしてしまいます。

 

12日目

隔離を終えるためのPCR検査が行われます。初めて外出を認められ、ホテル前に到着しているバスに乗り込みます*12。このとき、12日ぶりの外に出て、外気温を感じます。「思いのほか温かい!」とか、「この国はこんな匂いがするのか」と、全てが新鮮に感じられます。

部屋に戻ると、いよいよこの部屋から出ることになるのかという、9割の期待と1割の不安があります。

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左)PCR検査バス 中)検査のときに、こんなホテルの外観だったのか…と知る 右)滞在していた防疫ホテルがパノプティコンっぽくて笑った。逃げられない!笑

13日目

前日に受けたPCR検査の結果がSMSで届きます。PCR検査を受けたことで、ついに外に出られるという期待が湧き上がりますが、それを維持するのに中1日は長すぎます。そこで「第二次ウンザリ期」がやってきます。この第二次ウンザリ期は部屋を出るまで続きます。あきらめて無理をしないようにしましょう。

 

14日目(隔離生活最終日)

明日、遂にこの部屋から出ることになります。隔離後もしばらくは観察期間などがあり、公共のイベントに参加できないなどの制限もあります。とはいっても、隔離が終わることへの嬉しさが勝ります。

ホテルや滞在国からも、隔離に対しての労いの言葉とともに、翌日のチェックアウトの段取りについて連絡があるので、ジワジワと実感が湧いてきます。

14日間を過ごし、自分用にカスタマイズした部屋を元のホテルの部屋に戻しましょう。感謝の念とともに。

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左)14日間のほとんどを過ごしたデスク 右)滞在中に飲んだボトルウォーターを見て人間には水が必要なのだなぁと当然のことを思ったりします

 

15日目(隔離開け)

おめでとうございます!隔離生活15日目の0:00、遂に隔離が終わりました。朝にホテルから指示された導線どおりにフロントへ向かいます。チェックアウトを終えてホテルを出た瞬間、まるで昨日到着したかのような感覚になり、そして外の空気の清々しさに心から感動します*13

今日から日常が始まりますが、14日間あまり身体を動かしていないし、人と直接会話をしていないので、非常に疲れやすい「隔離ボケ」*14なる症状が起きます。今日はなるべく無理をしないようにしましょう。2日もすれば「隔離ボケ」は治ります。それでは良い一日を!


さいごに

以上、「今後役に立たないホテル隔離マニュアル」でした。いかがだったでしょうか。

最初の隔離のときは2021年2月で、まだワクチン接種も始まっておらず混乱が続いていました。「ホテルで21日間も隔離する」*15という全く未知な機会で、21日間を生き抜くだけでとにかく精一杯だったし*16、今後はこのような隔離はないと思っていたので、なにもログを残していませんでした。

2回目は2021年8月末でした。このときにはすでに3回目の隔離(2021年11月)があることがわかっていたので、なるべく記録を残すようにしました。おかげで3回目はだいぶ過ごしやすい14日間でした。それでも隔離の大変さはありましたが…。その大変さは、14日間隔離後にやってくる時間圧縮ともいえる体験のせいで薄らいでいきます。その奇妙な感覚と隔離の大変さは日記に残されていました*17

「今後役に立たないホテル隔離マニュアル」というタイトルにしたのは、僕の希望です。新種株の発生などでコロナがどういう形で収束していくのか、どうやって共に過ごしていくのか、全く想像できません。ですが、また以前のように隔離なく国外に出かけて仕事をしたり、友人に会えることを望んでいます。このマニュアルが役に立たない未来が来ますように!

 

謝辞

ここまで書いたことは、隔離を終えたあと一緒に隔離をしていた人たちから伝え聞いたものも含まれています。みなさま、本当にお疲れさまでした!そして、これだけ厳しい条件にも関わらず、私を含めた仕事仲間を国に招いてくれた関係者の皆様のご尽力に本当に心より感謝します!

 

追伸

今日(2021年12月7日)は国内での自宅隔離最終日です!おつかれ、自分!

 

おわり

 

*1:つまり、2021年は3ヶ月間も隔離生活を送っていたことになります。その3ヶ月を費やしてでも成し遂げたかった仕事があったのです。

*2:…と書いていたら、新たな変異株であるオミクロン株が発見され日本でも症例が上がってきました。これまではワクチンを2回摂取していれば、隔離期間が3日間程度で済んでいましたが、それも撤回されています。

*3:半ば「ヤケクソ」なところもあります。

*4:Netflixのドラマを全部見続けるのに疲れてしまったし、教則本を制覇できなくて、「こんなにも時間があるのにやれないなんて、どんだけ自分は駄目なんだ」と凹んだことがありました。まぁ、本当にダメな部分もあるのでしょうが、環境が環境なのでそこまで深刻になることはありません。

*5:今回は書いていませんが、日本に帰国しても原則14日間の隔離生活があります。つまり、合計28日間は隔離して過ごすことになります。

*6:ある方は「人はどこまで身体を動かさずにいけるのか」という謎の実験をして見事に体調を崩しました。運動というか身体を動かすことは大事です!

*7:そんな当たり前のことを確認せずに、日本から持ち込んだ電源タップをパリで破裂させた。

*8:隔離生活の日数は入国された翌日からカウントされます。これ、よく間違えてスケジュール狂ってしまう人続出

*9:窓が開くか開かないかは、めちゃくちゃ重要です。ホテルを予約するときに確認するとよいです。

*10:最初の隔離のときはトイレの蓋が壊れていた。設営で行っていたので自分の工具で自力で直して事なきを得た。

*11:でも、味にもなれてきてウンザリし始めてるのも事実。ホテルで出された食事は大半美味しかったです。ですが、「ごはんは美味しいものを食べたいんじゃなくて、食べたいものが食べたいのだ。美味しいのはその次なのだ。」という気づきがありました。

*12:もしくは、白装束(防護服)をきた3人組がわからない言語(中国語/筆者中国語まったくわからず)が部屋に乗り込んできます。ひとりは長い綿棒をもって鼻に突っ込み、もうひとりは浴室に行ってなにかを拭き取って密封パックにしまい、もうひとりはベッドメイキングをしています。綿棒による検査を終えたあと、ベッドメイキングを終えた人が手招きしています。そして… https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210301/k10012891991000.html

*13: 21日間のホテル隔離を終えてホテルの外に出たとき、みんなで「この風景、一生わすれない」と話したのでした。

*14:隔離生活は、それまで過ごしていた日常を忘れさせ、隔離生活を送る中で作られる「新たな日常」を過ごしていくことになります。隔離後は、普通の日常と、それまで過ごしてきた隔離生活での日常がうまく噛み合わず、小さな混乱が自分の中で発生します。これが「隔離ボケ」です。とにかくテンポが合わないのと、時間の進みが早いので息切れします。

*15:2021年2月当時、北京に入るためには21日間の隔離が必要でした。

*16:仕事で行っているので、ホテル隔離という環境下で隔離明けの仕事の準備するのがかなり大変だった。

*17:「曜日の感覚がずれる 時間の感覚もずれる(特ににアジア圏だと1〜3時間程度の僅かな時差が逆にキツイ/別途時計を持ち込んで対応)」

「…そう思うと、人の記憶というメカニズムはどういうものだろうと考える。確実に過ごしたこの2週間があっという間になきものになっていく。その2週間はブランクとして他の記憶に領域を明け渡す。過去のホテルに到着したあの瞬間が、今朝ホテルを出た瞬間に接続しようとする。」

「確実に貴重な体験として生涯忘れることのない2週間だけど、何も起きていない2週間なので、非常に奇妙な記憶の残り方をする。」

「記憶が空間によって呼び起こされる。『かまいたちの知らんけど』濱家が涙…スーパー・イズミヤへ最後の挨拶の事例。https://hiko1985.hatenablog.com/entry/2021/09/13/220623

しかし、自分は、またあの部屋に戻ってなんの記憶が呼び起こされるのだろう。いま、薄れゆく感覚の中でこれを書き留めておく。」

「…相対性理論的にも動いていない自分は他の誰よりも過去にいる(ただし、それは一兆分の1秒以下だと思う)。そのほんの一瞬が生み出してる感覚なのかも(適当)」